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道:地域医療再生計画案 専門医を地方派遣 ドクタージェットなど盛る /北海道

 道は救急医療や地方の医師不足対策などを盛り込んだ「地域医療再生計画案」をまとめた。小型機で救急患者を搬送する「ドクタージェット」の研究運航や専門医の地方派遣などを盛り込み、事業に必要な交付金174億円を厚生労働省に申請した。

 同計画案は、道南▽道央▽道北▽オホーツク▽十勝▽釧路・根室の6医療圏域別の事業と、全圏域が共通して取り組む全道事業の二本立て。各圏域の医療関係者が提案した事業を道が取りまとめた。全道事業は9事業、圏域別では各6~10事業が計画されている。

 ドクタージェットは道医師会などでつくる「北海道航空医療ネットワーク研究会」が昨年9月から1カ月間、丘珠空港(札幌市)を中心に全国初の研究運航を実施した。

 今回は実用化に向け異なる季節や天候での運航を想定、同研究会に事業費を助成する。高橋はるみ知事は22日の道議会本会議で「空港施設の体制など解決すべき課題もあったため、道も参画し具体的な検証作業を行うことにした」と強調した。

 地方の医師不足対策では、道内3大学や都市部の専門病院と連携し、専門医を地域の中核病院に派遣する制度を作る。また、医療過疎地で医学生を実習させる大学に対し、経費を支援する。カルテやレントゲン画像など患者の診療情報を、圏域内の各医療機関がインターネット上で共有する仕組みは6圏域にそれぞれ整備する。

 道南は、道内に3機あるドクターヘリの運航対象地域から外れているため、圏域内を運航するドクターヘリ導入に向けた調査を始める。オホーツクは、専門的ながん診療が必要な患者の一部が圏域外に流出しており、北見赤十字病院に陽電子放射断層撮影装置(PET)などを整備する。

 同計画案の事業費は、国が全都道府県を対象に10年度補正予算で2100億円を計上。道には最低90億円が交付され、不足分は厚労省の有識者会議が審査し、8月中旬に確定する。【田中裕之】

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 ◆地域医療再生計画案の主な事業◆

 【全道事業】

・都市部から地方へ専門医派遣

・医学生の医療過疎地での実習を支援

・小規模医療機関の看護師の技術研修

・看護師養成施設の演習用教材の整備

・ドクタージェットの研究運航

・圏域別の医療機関で救急医療の協議会設置

・臓器移植施設の整備など移植医療の推進

・病理診断医の連携や育成を支援

・圏域別の医療機関で広域連携の強化を支援

 【圏域別事業】

・医療機関間で患者の診療情報共有=6圏域

・ドクターヘリ導入に向けた調査=道南

・高等看護学校の設立=道央

・ドクターヘリのヘリポート整備=道北

・がん診療の機材や緩和ケア病棟を整備=オホーツク

・新生児集中治療室の増設=十勝

・診療所の改築=釧路・根室

毎日新聞 2011年6月23日 地方版

 

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