復興リーダー役、育て 被災地、長期ボランティア不足
東日本大震災からの復興に向けてボランティア活動を進めていく中で、現地に腰を据えて活動を企画、調整するリーダー役が不足している。長期間現地で活動するのに必要な金銭面の支えがないことが大きい。現地のボランティアネットワークは「復興支援のためにはもっと人が必要」と訴えており、京都市のNPOは、仕事を辞めて被災地で活動する人を雇用する新たな形の支援を始めた。
岩手県遠野市の遠野総合福祉センター。ここに事務所を置くボランティアネットワーク「遠野まごころネット」は、震災直後から、被害の大きい沿岸部で活動するボランティアを受け入れてきた。朝夕は、活動の場を求める人でごった返す。
だが、多田一彦副代表(52)はもどかしさをおぼえている。「復興支援のためにもっと人がほしい。企画や調整をする人がいれば、さらにボランティアを受け入れ、活動を広げることができるのに」。生活再建のために被災者が働ける店を遠野市に開きたい、外国人ボランティアも受け入れたい。でも核になって動く人が足りない。
腰を据え、継続して現地で活動できる人は限られている。
東京都から遠野市に来た吉野和也さん(31)は、勤め先に辞表を出した。「4月に一人で陸前高田市に支援物資を届けたが、週末だけ行ってどうなるもんじゃなかった」
吉野さんは5月中旬、まごころネットで、被災地支援を模索していた、旧知の京都市伏見区のNPO法人「テラ・ルネッサンス」理事の鬼丸昌也さん(31)と再会した。現地の活動の足がかりを求めていた鬼丸さんと、経済的な後ろ盾が必要だった吉野さん。話し合いの結果、吉野さんはテラ・ルネッサンスから1年間給与を受け取りながら、遠野で活動することが決まった。
吉野さんは現在、炊き出しボランティアをコーディネートしている。今後、鬼丸さんらは、学生を吉野さんのもとへ派遣することも検討している。
大阪経済大客員教授の末村祐子さん(45)はNGOでの活動経験を買われ、被災地NGO恊働センター(神戸市)から参与の肩書で1年間派遣され、まごころネットの事務局などを手伝っている。「事務局機能が強化されて初めて、多くのボランティアや支援団体と協力できる」と話す。
災害支援に詳しい同志社大社会学部の立木茂雄教授(55)は「ボランティアの調整役は一般ボランティアと異なり、本来は有償でないといけない」と言い切る。「復興が始まるこれからは、調整役は長期的に被災地にいないといけない。ボランティアを送り出す自治体がその費用を負担することも一つだろう」と話している。
【 2011年06月13日 23時11分 】
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