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鶴岡の弟殺害:裁判員裁判 兄に懲役6年の判決 「過剰防衛成立せず」 /山形

 鶴岡市蛸井興屋(たこいこうや)の自宅で弟の首を絞めて殺害したとして殺人罪に問われた兄の農業、佐藤春夫被告(63)の裁判員裁判の判決公判が2日、山形地裁であった。矢数昌雄裁判長は懲役6年(求刑・懲役10年)を言い渡した。

 公判の冒頭で、矢数裁判長が「裁判員の男性から『解任してほしい』との申し出があり、補充裁判員を選任して評議した」と述べた。裁判は、弟の春美さん(当時59歳)の首を絞めた行為が、差し迫る危険から自分や家族を守るために行った過剰防衛に当たるかが争点だった。判決は「被害者がもがくなどしても、被告をはねつけるのは困難。被告の身体に対する危険が差し迫っていたとはいえない」と結論づけ、過剰防衛は成立しないと判断した。

 一方で、「長年にわたりそううつ病の被害者の面倒をみており、犯行前には入所する施設を探すなどの努力をした。多数の嘆願書は、被告のまじめな人柄や地域で慕われたことをうかがわせる」と指摘した。矢数裁判長は佐藤被告に「奥さんが止めたときに思いとどまれなかったのが残念でならない。罪を償って、地域に復帰することを願う」と説諭した。

 閉廷後、担当の安孫子英彦弁護士は「私としては控訴したい。執行猶予が相当。本人と相談する」と語った。50代の男性裁判員は、閉廷後の記者会見で「正当防衛はよく聞くが過剰防衛というのは今回初めて知った。悩んだが自分なりの判断はできた」と話していた。

 判決によると、佐藤被告は10年11月9日午前6時25分ごろ、鶴岡市内の自宅1階居間で、春美さんを床に押し倒して馬乗りになり、上着の襟を強く引っ張って首を絞め、春美さんは4日後に窒息による蘇生後脳症で死亡した。【安藤龍朗】

毎日新聞 2011年6月3日 地方版

 
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