安全基準を超えた「内部被曝」(要精密検査)すでに4766人、異常値を示した人1193人隠された放射能汚染を暴く

2011年05月30日(月) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 再生可能エネルギー利用の先進国・ドイツのNGO、ワールド・フューチャー・カウンシルの気候・エネルギー部門ディレクターのステファン・シューリッヒ氏は、日本での普及のためのヒントを語ってくれた。

「政府と原発関係者の癒着のような関係は、ドイツにもあります。ただ、ドイツでは電力の自由化後に、再生可能エネルギーに投資した人は一定期間リターンを得られる法律ができました。たとえば20年間、風力発電に投資すれば、1kW/時ごとにリターンが得られる、というようなものです。この仕組みにより、ドイツではここ10~15年の間に、再生可能エネルギーが爆発的に広がりました」

 一度作ってしまえば、そのランニングコストや巨額な廃炉費用は電気料金に上乗せし、電力会社が一方的に儲け続けるのが原発中心のシステムだ。その上、事故が起きたら、そのコストも国民に押し付けられる。

 命や健康を危険に晒されつつ、最終的に数十兆~数百兆円単位の負担を強いられるくらいなら、同じコストを再生可能エネルギーに投じたほうが、はるかに賢明なのは自明の理だ。

 ウクライナではチェルノブイリの悲劇を経験しながら、国力の疲弊のため、さらに20基以上の原発を新設して、電力を欧州に輸出する計画が進んでいるという。日本は絶対に、同じ轍を踏むべきではない。

 20年以上前から「脱原発」の論陣を張り続け、再生可能エネルギー社会に注目してきた作家の池澤夏樹氏も、こう語る。

「産業界は福島第一原発の事故の後も、産業が潤うためには原子力が必要だと言っています。放射能に汚染されて人が住めない国土を作り、市民を自宅から大勢追い出したというのに、これほどの惨状を前にして、まだあなたたちは原子力が本当に必要だというのか。

 今回の事態はあまりに不幸でしたが、もしも救いがあるとすれば、日本が変わる契機になるかもしれないということです。大地はこれほど大きく揺れるものだと分かったし、電気も止まり、原子力の安全神話も崩れた。不幸ではありますが、生き方を深く考える機会になりました。

 いまは、後に『あの時が時代の曲がり角だった』と言われるような時期なのだと思います。日本全体で、旧来の方程式を換えねばならない。そうでなかったら、亡くなった方々や住む家を奪われた大勢の方々に、申し訳がありません」

 いま変わらなければ、いつ変わるのか。「がんばろう、ニッポン」とは、この国が変わることを怖れない、躊躇しているヒマはない、ということだ。

 

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