再生可能エネルギー利用の先進国・ドイツのNGO、ワールド・フューチャー・カウンシルの気候・エネルギー部門ディレクターのステファン・シューリッヒ氏は、日本での普及のためのヒントを語ってくれた。
「政府と原発関係者の癒着のような関係は、ドイツにもあります。ただ、ドイツでは電力の自由化後に、再生可能エネルギーに投資した人は一定期間リターンを得られる法律ができました。たとえば20年間、風力発電に投資すれば、1kW/時ごとにリターンが得られる、というようなものです。この仕組みにより、ドイツではここ10~15年の間に、再生可能エネルギーが爆発的に広がりました」
一度作ってしまえば、そのランニングコストや巨額な廃炉費用は電気料金に上乗せし、電力会社が一方的に儲け続けるのが原発中心のシステムだ。その上、事故が起きたら、そのコストも国民に押し付けられる。
命や健康を危険に晒されつつ、最終的に数十兆~数百兆円単位の負担を強いられるくらいなら、同じコストを再生可能エネルギーに投じたほうが、はるかに賢明なのは自明の理だ。
ウクライナではチェルノブイリの悲劇を経験しながら、国力の疲弊のため、さらに20基以上の原発を新設して、電力を欧州に輸出する計画が進んでいるという。日本は絶対に、同じ轍を踏むべきではない。
20年以上前から「脱原発」の論陣を張り続け、再生可能エネルギー社会に注目してきた作家の池澤夏樹氏も、こう語る。
「産業界は福島第一原発の事故の後も、産業が潤うためには原子力が必要だと言っています。放射能に汚染されて人が住めない国土を作り、市民を自宅から大勢追い出したというのに、これほどの惨状を前にして、まだあなたたちは原子力が本当に必要だというのか。
今回の事態はあまりに不幸でしたが、もしも救いがあるとすれば、日本が変わる契機になるかもしれないということです。大地はこれほど大きく揺れるものだと分かったし、電気も止まり、原子力の安全神話も崩れた。不幸ではありますが、生き方を深く考える機会になりました。
いまは、後に『あの時が時代の曲がり角だった』と言われるような時期なのだと思います。日本全体で、旧来の方程式を換えねばならない。そうでなかったら、亡くなった方々や住む家を奪われた大勢の方々に、申し訳がありません」
いま変わらなければ、いつ変わるのか。「がんばろう、ニッポン」とは、この国が変わることを怖れない、躊躇しているヒマはない、ということだ。
現代ビジネスブック 第1弾
田原 総一朗
『Twitterの神々 新聞・テレビの時代は終わった』
(講談社刊、税込み1,575円)
発売中
amazonはこちらをご覧ください。
楽天ブックスはこちらをご覧ください。
- 新本店に個室が持てない みずほドンの「心残り」 (2011.06.23)
- 政府はこれも隠している 高濃度汚染水は地下水になった (2011.06.22)
- 原発から60km人口29万福島市内が危ない 異常な量の放射性物質を検出 (2011.06.21)
- 福島から世界へ!「100人の声」 前編/福島市・二本松市・いわき市 (2011.06.19)
- 深層レポート やはりハゲタカか、アレバ社が狙う「さらなる旨み」 (2011.06.18)
- 「捨てられた日本国民」 政府は本当のことは教えない。 国民がパニックになるから、だって (2011.06.06)
- 「レベル7」現実は想像を超える (2011.04.25)
- わずか数時間で「通報基準」の7倍!100倍を超えた作業員も! 「封印された内部被曝」福島第一原発衝撃の実態 (2011.05.13)
- 「レベル7」ニッポンの選択 これでも原発ですか (2011.05.06)
- 人類史上、初めての体験 溶け出した福島第一原発「第3の恐怖」 (2011.04.11)
-
立ち読み電子図書館オトコの病気新常識 著者:伊藤隼也 02 前立腺肥大症 (2011.06.23)
-
経済の死角新本店に個室が持てない みずほドンの「心残り」 (2011.06.23)
-
-
井上久男「ニュースの深層」広報のプロがいない! (2011.06.23)
-
創職時代 ~新しい生き方 新しい働き方~海外旅行でもしかしてまだホテルに泊まってるんですか? (2011.06.23)