そもそも『冷温停止させる』と言いますが、圧力容器に循環注水冷却装置を取り付けるのも至難の業。作業員が汚染水などで、大量被曝をする可能性があるからです。年末までに20万tにも達するという、汚染水処理の問題もある。9ヵ月というのは、政府と東電のメンツを守るためのポーズに過ぎません」(元京都大学原子炉実験所講師の小林圭二氏)
敦賀、浜岡でも事故が発生
福島第一の危機的状況の裏では、5月8日に福井県の敦賀原発2号機で、41億ベクレルの放射性ガスが外部に流出するという事故が発生した。41億ベクレルとはかなりの量に思えるが、敦賀原発を管理する日本原子力発電は、「年間規定値の40万分の1で、周囲に影響はない」と説明する。
だが、41億ベクレルを40万倍すると、1640兆ベクレル(1640テラベクレル)。国際評価尺度では、外部への放出量が数百テラベクレル以上になった場合、「レベル5」の事故とされる。〝当社比〟による規定値は高過ぎるようで、クビを傾げざるを得ない。
また、菅直人首相の要請により、冷温停止に向け作業中だった静岡県・浜岡原発5号機では、作業の途中に配管が破断し、海水400tが漏れ出す事故が発生した。そのうち約5tは原子炉内に流入したと見られ、一歩間違えれば、こちらも大事故に繋がりかねなかったことが判明している。
いったい原発の、どこが「安全」だったのか。安全どころか、日常的に故障やトラブルが繰り返される、非常に脆く危ういシステムが、原子力発電所の実態だった。そして福島第一のように、ひとたび大事故が起きれば、人間ができることはほとんどない。水素爆発や水蒸気爆発による〝破局〟の恐怖に慄きながら、ひたすら水をかけ、「鎮まってくれ」と祈るしかないのだ。
前出の藤井氏は、「人が放射能と共存できないことは、最初から分かっていたこと」として、こう語る。
「放射能を効率よく生み出すのが原発ですから、当然、共存することはできません。しかし日本では、驕りと過信から、この狭くて地震が多い国土に54基もの原発を並べてしまった。原発は、できる限り早く止めなくてはなりません。危ないのは浜岡だけではない。もし、福島に次いで他の原発も事故を起こしたら、今度こそ壊滅的打撃を受けます。経済的にも負担をしきれず、国際社会からも見放され、日本は終わりです」
この期に及んでも「原発は必要だ」とする推進派は、「不測の大停電が起きる」「電力が足りなくなり、日本経済も産業も立ち行かなくなる」と言う。
しかし、果たしてそれは本当か? 答えは「否」だ。環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は、
「電力は足りています。54基の原発すべてを止めても停電にはなりません」と断言する。
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