ところが、国会で事実を指摘された細川律夫厚労相は、「1080人の子どもを調査したところ異常はなかった。今後もホールボディカウンターによる調査を行う予定はない」と答えた。ここに至っても政府は、「直ちに影響はない」という姿勢を変えようとしない。
「外部被曝による急性放射線症と違い、内部被曝では数年後から10年以上経て発症する晩発性障害が深刻になります。一生涯にわたる影響を与え、場合によっては遺伝的影響のように、世代を超えて障害を引き起こします。
晩発性障害の中で、比較的早く症状が表れるのが白血病で、被曝から数年後に発症し始めます。そして、甲状腺機能低下や肝機能低下、心筋梗塞など、あらゆる障害が起こり得るのです」(前出・沢田氏)
日本政府は、本来「年間1mSv以下」に抑えるべきとされていた被曝量を、大人・子どもの区別なく、なし崩しに「20mSv」にまで引き上げてしまった。
故意なのか無能なのか、震災直後には起きていたメルトダウンについても、2ヵ月も経ってから公表するお粗末。知っていれば逃げたであろう人たちも、これでは後の祭りだ。
さらに、「パニックになるから」(細野豪志首相補佐官)という理由で非公表になっていた、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の被曝データ。地上から18m~20mで放射性物質を測定し、地表より検出される数値が小さくなっていることを黙っていた事実。そして、今回明らかになった、住民の大規模な内部被曝を物語る危機的な現実・・・。
政府と東電は、グルになって事故を過小評価し、情報を後出しし、意図的に「大したことはない」との印象操作を続けてきた。こんなことをしておきながら、東電は「賠償は国が面倒を見て欲しい」と主張している。つまり、税金で自社を助けろと言う。
バカを見るのは結局、彼らを信じた末に命と健康を危険に晒し、なおかつ税金や電気料金を搾り取られる国民ということだ。
平均寿命が20年縮む
実は25年前、チェルノブイリ原発の事故が起きた際も、関係者たちは自己保身と責任逃れ、情報隠蔽に終始した。その結果、どんなことが起きたのかを示しているのが、事故現場となったウクライナの現状だ。
同国は、事故の5年後の1991年に旧ソ連からの独立を果たした。その当時の人口は約5200万人。ところが年々、人口が減り続け、2010年には約4500万人になってしまった。19年で700万人もの人口減、その減少率は13%にもなる。
同国の平均寿命は、かつて75歳前後だったが、5~10年後には55歳ほどに低下する可能性があるという。そしていまだに、チェルノブイリ周辺では、障害を抱えて生まれる子どもたちが多いという(NHK BS世界のドキュメンタリー『永遠のチェルノブイリ』)。
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