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福島第1原発:浄化処理また中断 濃度、想定まで下がらず

福島第1原発2号機の原子炉建屋内部の様子。地下階に下りる階段では、高い放射線量の汚染水がたまっているのが確認された(右下の茶褐色の部分)=2011年6月21日撮影、東京電力提供
福島第1原発2号機の原子炉建屋内部の様子。地下階に下りる階段では、高い放射線量の汚染水がたまっているのが確認された(右下の茶褐色の部分)=2011年6月21日撮影、東京電力提供

 東京電力は22日、福島第1原発で試運転中の高濃度放射性汚染水浄化システムで、処理前後の放射性物質濃度を調べた結果、米キュリオン社製のセシウム吸着装置の能力が想定を下回っていたと発表した。比較的低濃度の汚染水で試験をした際には放射性物質を3000分の1まで減らせたが、高濃度汚染水では50分の1程度までしか減らせないという。東電は試運転を再び中断し、原因を調べている。

 東電によると、集中廃棄物処理施設内にある汚染水中のセシウム濃度は1立方センチ当たり200万ベクレル程度。想定では、セシウム吸着装置を通した後には数千ベクレルまで下がるはずだったが、22日に調べたところ4万ベクレルだった。現状ではシステム全体を通した浄化能力が低下する恐れもあり、慎重に調べる。

 また東電は、大量の高濃度汚染水がたまっている2号機原子炉建屋内で21日に実施した調査の結果を発表した。二重扉を開いた結果、高温多湿だった建屋内は気温25度前後、湿度50~60%程度まで改善され、長時間作業が可能になったが、茶色く濁った汚染水が地下に通じる階段まで最大6メートルの深さでたまっているのを確認。表面近くの線量は最大で毎時430ミリシーベルトだった。

 増え続ける汚染水の移送先を確保するため東電は22日、集中廃棄物処理施設で受け入れる貯水量を1500立方メートル分増やした。【比嘉洋、久野華代】

毎日新聞 2011年6月22日 22時37分(最終更新 6月22日 23時08分)

 

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