7月10日に予定している伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)の再稼働に向け、四国電力が正念場を迎えている。22日発表した追加安全対策について、愛媛県の中村時広知事は一定の評価を示したが、同知事が再稼働するための条件に挙げた国の基準提示などは時間がかかる見通しだ。企業から電力を調達して夏場の節電要請を回避する見通しだが、伊方原発の視界は開けていない。
中村知事はこれまで、3号機再稼働について(1)国の安全基準への姿勢(2)四国電力の取り組み(3)立地地域の意見――の3項目をもとに「総合的に判断したい」としてきた。
22日に四電の千葉昭社長から説明を受けた追加安全対策について「(四電が)積極的に対応すると意思表示した」と同社の取り組みを評価し、ハードルを1つ越えた。
中村知事が高く評価しているのが、国が安全基準を明確にしない中で四電が独自対策を打ち出してきた点。この日発表した耐震性能の強化以外にも、東日本大震災の発生後から1~3号機それぞれに別系統の電源ケーブルを接続して非常電源の確保に努めるなど素早く安全対策を講じてきた。
四電は「独自の対策として今できるものはまとめた」(千葉社長)とし、今後は知事や立地地域の伊方町の判断を待つ。
24日には3号機のプルサーマル発電用のウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を再び装てんする予定であることも知事に伝え、予定通りの再稼働を要請した。それでもなお、再稼働までには乗り越えなければならない課題が残る。
中村知事は「国の新たな基準と中部電力浜岡原発の運転休止についての見解を聞きたい」と海江田万里経済産業相が来県して自治体や住民に説明することを求めている。
20日始まった6月定例県議会でも議論を尽くしたいとしており、会期末の7月8日まで県として再稼働に同意する可能性は低そうだ。
22日の千葉社長との会談では「7月10日に縛られることはない」と強調。3号機に燃料を再び装てんしても「再稼働できる保証は全くない」と突き放した。
一方、四電は「(仮に再稼働が遅れても)ほかの対応で、何とか供給電力の予備力を確保していく調整をしている」(千葉社長)説明している。
企業からの電力買い取りや自社設備の効率運用でなんとか供給力を維持する方針だ。数値目標を定めた形での節電要請を回避するめどがつきつつあることを示唆した。ただ気温が想定以上に上昇すれば安定供給に黄信号がともりかねない。
四国電力が7月10日に3号機を再稼働できるかは、今後の国の動きと、それを受けた愛媛県や地元・伊方町の議論の行方にかかっている。予断を許さない状況が続きそうだ。
四国電力、中村時広、千葉昭、海江田万里、中部電力
日経平均(円) | 9,629.43 | +169.77 | 22日 大引 |
---|---|---|---|
NYダウ(ドル) | 12,169.69 | -20.32 | 22日 15:09 |
英FTSE100 | 5,772.99 | -2.32 | 22日 16:35 |
ドル/円 | 80.32 - .34 | +0.12円安 | 23日 4:03 |
ユーロ/円 | 115.48 - .52 | -0.01円高 | 23日 4:03 |
長期金利(%) | 1.120 | ±0.000 | 22日 15:27 |
NY原油(ドル) | 93.40 | +0.14 | 21日 終値 |
使用率:56.5%2701/4780万kW
予想最大電力:4150万kW14時~15時
経済や企業の最新ニュースのほか、大リーグやサッカーなどのスポーツニュースも満載 詳細ページへ
日経ニュースメール(無料)など、電子版ではさまざまなメールサービスを用意しています。
(詳細はこちら)