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震災がれきでバイオマス発電 農林省、被災地に建設計画

2011年6月16日3時1分

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写真:3カ月が経っても片づかない木材のがれき=10日、岩手県陸前高田市、森井英二郎撮影拡大3カ月が経っても片づかない木材のがれき=10日、岩手県陸前高田市、森井英二郎撮影

 東日本大震災で生じたがれきを燃料に使う「木質バイオマス発電」の普及に農林水産省が乗り出す。がれき処理と再生可能エネルギーの活用の両立を狙う。被災地に発電所を5カ所程度建設する計画。関連予算を、次の補正予算案に盛り込む方向で調整中だ。

 発電所は出力1万キロワット級の規模を検討している。発電で生じる熱を給湯や暖房に利用するシステムも加え、効率的なエネルギー利用を目指す。建設費用は、本体と関連施設をあわせて1カ所あたり40億円程度とされる。半額以上を民間事業者に助成する方針で、当面の予算規模は計100億円前後を見込む。

 被災地のがれきは阪神大震災に比べて膨大で、今回は木材が多いのが特徴だ。環境省の推計では、がれき全体で2500万トンに及び、うち7割が木質系の廃棄物とみられる。その中でも、津波に伴う塩分が少なく、柱の形が残っている木材が発電に適している。農水省は、約500万トンが利用でき、数年は発電できるとみている。

 がれきの処理費用も多額に上りそうだが、単に廃棄物処理せず、発電に利用することで効率的ながれき処理を進める狙いもある。

 がれき処理が終わったあとは、周辺の森林から切り出された間伐材などを燃料として発電を続ける。農水省は2009年末に公表した「森林・林業再生プラン」で、バイオマス資源として間伐材などを積極的に使う方針を打ち出した。この方針に沿って、製材工場から出る端材などを発電所に供給する体制も整え、エネルギーの地産地消を促す。

 バイオマス発電は、木くずや生ゴミ、家畜の排泄(はいせつ)物など動植物から生まれた再生可能な資源を利用した発電方式。農水省によると、木材を専門に使ったバイオマス発電所は全国に約50カ所あるが、化石燃料を使う発電よりも割高なことが普及の壁になっている。自然エネルギーの固定価格買い取り制度を導入する法案が成立するかどうかも、利用拡大のカギとなる。(大津智義、木村裕明)

     ◇

 〈木質バイオマス発電〉 木くずや間伐材などを燃やして電気を起こす発電方式。木の廃材を燃やして二酸化炭素(CO2)が発生しても、木が成長する際に光合成でCO2を吸収する循環が見込めるので、温暖化防止にもつながる発電方式とされる。

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