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[28417] キモオタ異世界(かなり略しました)
Name: 読み手@オタ(文章、その他)&浅木幸介(ストーリー)◆9889f941 ID:12489add
Date: 2011/06/18 17:28
小説家になろうに載せている合作です。
正式な題名は「キモオタが厨二的能力と魔王(お荷物)を得て魔王(設定だけででないっぽい)を倒すため異世界へ旅立ったようです
」・・・長いですね
なろうに合わせて改行してます(すいません)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「きゃああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

 ―――耳の鼓膜が破れそうなくらい大きな悲鳴。 学生服を染める真っ赤な血。
 昼間の学校では決してありえない光景だった。

 「き……きじ……ま……!!」

 皮が斬られて中身が見えてしまっている右腕を左手で押さえ、土谷克樹は眼の前にいる狂者を睨む。いや、敵と言った方が正しいのだろうか。
 
 「……死ねよ!」

 そこで、意識はプツリと途絶えた。


 あの惨劇からもう二年が経つ。思い出したくも無い、逃げている方が楽だ。
 テーブルライトも何も点いていない暗い室内で唯一光を放っているパソコン。
 モニターにはARPGゲームのメニュ画面が表示されている。もう涙が枯れてしまい、泣くことすらできない。
 
 二年前、俺は通っていた高校である事件を起こした。
 自分が悪いわけではない。機械の進化で自然と起こってしまった事件。
 人にナイフを、銃を、凶器を向けても何とも思わない人間で溢れかえっているこの世界のせいで、事件が起こったのである。

 そのときの俺は所謂イジメられっ子という奴だった。
 頼りない、もやし体型とひょろひょろした容姿からきているのだろう、ある日突然「弱虫」やら「ひょろメガネ」と言われてからかわれ始めたのである。
 喧嘩は弱い、成績も悪いで何も言い返すことはできず、イジメはどんどんエスカレートしていった。

 そして事件の日、俺はある喜びを得た。
 家庭科の授業で裁縫を褒められたのである。イジメグループではない男子生徒や女子生徒にわいわい言われて少し照れくさかった……が。
 それが引き金となってイジメグループのリーダー来島公の怒りが爆発。
 俺は昼休みに廊下でさらに恐ろしいイジメを受けたのである。
 
 名を、「ターン」と言う。
 俺を回して、ナイフを近づける。そして俺が回る力だけで俺の服を切り裂くというものだ。残酷、デスゲーム。そのような単語が相応しいだろう。
 そして、ターンが始まり俺の学生服がだんだんと切り裂かれていった。

 女子生徒の「うわ……」や「やめなよ」という声。男子生徒の「はは……」、「もっと斬れ!」などの笑い声。……そこに先生が割って入った。
 「やめなさい」と。「退学にされてもいいのか」と。
 だが、それがさらに来島の怒りを買い…………

 そこからは、思い出したくもない。
 
 斬られた右腕には糸で縫ったあとが残っている。
 
 事件後、俺は逃げた。
 引き篭もり、自分と同類である人たちと一日中チャットをするだけの毎日が始まる。
 親は自殺する可能性があると思っていたか、何も言わなかった。
 
 そして―――現在に至る。
 
 18歳。本当なら高校三年生。逃げて、逃げて、逃げまくった俺はキモオタ系の引き篭もりと化している。
 どこまでも偽ることができ、自分を裏切らない楽しみが入ってくるゲームや仮想世界。
 そこに足を踏み入れた俺はでれなくなっていた。

 いや、逃げる気なんてない。
 自分はこの世界で生きる。そしてこの世界で死ぬ。
 現実世界じゃない仮想世界でだ。
 

 「ふぅ……」

 キーボードを打つ両手を休め、デスクとセットの椅子に背中を預ける。
 流石に疲れがでてきたか……。
 徹夜三日目、勿論集中しっぱなしだったので食事も一切取っていない。
 ARPGオンラインゲーム「ディアソルサーガ」。

 新しくサービスが開始されたこのゲームに今、俺はどっぷりとはまっている。
 綺麗な3Dグラフィック、数え切れないほどのスキルや魔法。
 有名ゲーム会社「KONU」が開発した今一番流行っているネットゲームだ。
 
 ストーリーに沿っていくのではなく、戦闘を楽しむ。
 レベルが上がっていくのではなく、使える技や魔法の数が増える。
 発案者のユニークな発想から創り出された大傑作。
 そして俺はこの三日間徹夜し、ようやくユーザーランキング第五十位になったのである。

 瞼は少し気を抜いただけで閉じてしまうほど、手にはほとんど力が入らなくなっていた。
 ……睡眠をとろうか。なあに、すぐ追い抜かれるわけじゃないさ。
 思い、俺はバフっとベッドに倒れ込んだのだった……。



 ――眼が覚める。
 だが眼に映る天井は黒でなく、輝かしい白色をしていた。
 起きて周りを見渡すと、顔の辺りに雲、白の空が広がっている。
 
 ……夢か。天界のようなところに来てしまったな。
 一瞬で状況把握。キモオタだから不思議な世界のことがよくわかる。
 最近、何故か奇妙な夢を見ることが多かった。
 ……熟睡できていないわけではないようだが、少し気になってしまう。
 
 「どうするかな……」

 どうやら今回の夢は強敵らしい。自分の手を見たりしても中々覚めてくれない。
 最後の手段だ、と頬を抓ろうとした

 ―――そのとき、脳に流れてくるような声が聞こえてきた。

 {ここは夢の中などではない、現実じゃ}
 「――!?」

 透き通るような、女性の美声。
 どこか古い口調で、おだやかな雰囲気がある。
 ――っ!?どういうことだ……?

 今まで夢の中でこんなにはっきりと声が聞こえたことなんてない。
 それに……夢の中で「夢じゃなく現実」というのは明らかにおかしい。
 驚き、再び辺りを見渡す。だが、いくら探しても人っこ一人いなかった。

 {探しても無駄じゃ、わらわは姿を消しておる}
 「姿を消す……というのは?」

 額から頬、頬から顎へと冷や汗が伝っていく。
 体中が軽く痙攣しているのは自分でもわかる、異常だ。
 
 {姿を消す、ということは……}
 「…………いやちょい待て」
 
 急に痙攣がピタリ、と止まる。
 展開がおかしい、なんだこれは?キモオタ思考に戻れ俺よ!
 …………ウィーンガシャウィーンガシャ、チーッン!

 よしOK。改めて考えてみよう。
 まず、俺はどこにいるか……A,夢じゃない現実の天界らしき場所
 声について、脳に流れる感じ、美声、姿がない……もしかして……

 「……映画撮影中か?」
 {違う}

 だめだ、瞬殺だった。
 もういいや、訊いてみよう。クイズじゃないんだから。

 {ここは神の聖域じゃ}
 「はぁ……」
 {そしてわらわは神、姿を消すのは自分の力じゃ}
 「………………アニメ中毒患者ですね、わかります」
 「違うわい」
 
 またしても瞬殺。せっかちな人だ、全く……最近の若者(?)は。
 しかし……どう考えても映画撮影にしか思えないんだが。
 声は特殊効果、場所はセットだと考えればぴったり合うし。自分、動揺しないし。
 
 ……証明させようか。

 「じゃあ……俺にオーラか何か纏わせてみろよ、成功したらここが神の聖域だと認める」
 
 やっぱり金の方がよかったかな。
 言うと、{う~ん……}という唸り声が脳に響いてくる。
 やはり無……

 {よし、やってやる!}

 マジですか。どんだけクオリティ高い映画をつくろうと?
 そして、次の瞬間にパッと体が発光した。
 ―――まぶしっ!!

 思わず、眼を瞑って俯く。
 ……が、効果は無い。完全に眼を瞑ることなどできず、(ってか光に負け)眼に激痛が走った。

 「うぎゃあああああああああああああああああ!!!」

 SMプレイより辛いことをされている。
 光の眼つぶしがここまで破壊力あるとは思わなかった……油断対敵。

 {どうだ!これが神の力だ!!!}
 
 大きく脳に響く声。
 うるさっ……ってか眼が、眼があああああああああああああああ(眼→あ?)!!!




 {というわけじゃ……}
 「はぁ……」

 どこかへ向かって正座し、申し訳なさそうな声を出す。
 状況を説明しよう、一言で言うと異世界トリップ前だ。
 
 ……まぁ俺だけが異世界に行くわけじゃないらしいけどね。
 なんか神(の声)が俺たちのいた現実世界を削除して恐竜世界作るらしい。
 で、現実世界の住人は全員RPGファンタジックワールドにお引越しというわけだ。

 つまり、三日徹夜したネトゲのランキングとかも全て消える。
 乙ですた。
 …………了承できるかっ!!!!

 「……ファンタジックワールドに現実世界のもの全てを移すというのは……」
 {無理、不可能、諦めて田舎へ帰れ}

 もうすぐ田舎消されるんですがどうすればいいですか?
 普通の簡単にチートもらえたりする異世界トリップならいいさ。
 それならどんなに楽か。
 
 ……この神の場合、そのまま人間を移すだけだろうな。
 職業データとかも全てパー、年金制度もなさそうだからすぐに死ぬ人でてきそうだ。
 まぁそこらへんはどうでもいいんだけど。 
 
 目的……A、何とか普通じゃない異世界引越しをする。できればチート欲しい。
 方法……A,会話で上手くもっていく。
 とにかく普通の商人(または死人)とならない異世界引越しがしたいといけない。
 ……くそっ!俺のランキング!

 「先生、もっと詳しい説明してくれませんか?」
 {先生言うな。まぁ……とりあえず説明するべきじゃな…………パンフレット作らないといかんな……」
 
 あれ?最後らへんなんかボソッて……。
 
 {えーまーあれじゃ。魔界と王国が対立し合ってるけど実際ほとんど戦争の予感しなくて平和で暮らしてる……みたいな}

 それ勇者とかいります? ってか適当に作りすぎじゃ?
 ツ○ール使ってますよね? しかも製作時間二分でしょ? どうせ。
 ……ちょっとこういうありきな状況にでる疑問点をついていこうか。

 「質問ですが……作った世界に細かなブレとか起きません?一気に人間を移動するんですから……」
 
 何で敬語なんだろ。

 {まぁ確かにバグは起きるな……}

 ほらー! 絶対この人ツ○ール使ってるよ。
 ……プログラミングでもしてるのか、こいつは。
 人間のお引越しも切り取り→貼り付けみたいだ。
 ……そこをつくか。もういいや、普通じゃなければ労働的なことでも

 「ワタクシにそのバグ修正を任してくれませんか?」
 {う~ん……}

 神(の声)は唸り声をだす。あともう一押しなのは言うまでもない。
 ってか人間に上手いこと言われる神ってなんだよ!

 「恐竜世界の製作に取り組みたいんですよね?」
 {あーもういい。OKOK、チート欲しいんじゃろ?}

 バレてたのか……。適当な態度はいったいなんなんだ。
 思った瞬間、パチッという指を鳴らす音と共に手袋、ディスプレイ……

 ………………両手に手錠をはめられた一人の男が目の前に現れた。
 正直コメントできないものが一つあるんだがどうすればいいだろうか。
 ちなみに手錠男はしゅんとして俯いている。

 「……順番に説明してくれ……ださい、デカブツ(手錠男)は最後で」
 {まず手袋について。それをはめて力込めると想像したものが全部でてくる。チート装備じゃ。次にディスプレイじゃが……世界の説明じゃな}

 言って、神(の声)は再びパチッ、と指を鳴らす。 
 正直言わせてもらうと俺は指を鳴らせない。スカッって音がする。
 音とともに、ディスプレイに地図が浮かび上がった。
 
 ∞形で左が黒、右が緑色に塗りつぶされている。
 山のでこぼこなどがないのでおそらくペイ○トで書いたのだろう。
 ……せめてS○Iくらい使わないか?
 ってかパソコン使いすぎ。

 {左が魔界、右が王国じゃ、はい終了ー}
 「……」

 適当すぎて何もいえないのは自分だけだろうか。
 もし自分だけならこの世界(あれ?ここどういう世界?)はいかれている。
 そして、手錠男が最後に残った……。
 
 {こいつは悲劇の魔王でな……}

 あれ!?なんかイメージと違う事情持ち!?




[28417]
Name: 読み手@オタ(文章、その他)&浅木幸介(ストーリー)◆9889f941 ID:12489add
Date: 2011/06/19 12:19
{SRPGファンタジックワールドの魔王なんだけど、勇者待っているときコンビニでかけたらトラックに轢かれて死んだんじゃ}
 「……」

 つっこみを口に出すことができないな……。
 1、コイツ魔王だったのか
 2、どんくさ
 3、SRPGの世界まで作る神(の声)ってただのゲーマー?
 4、ファンタジックワールドにトラックとかコンビニとか入れるもんじゃないだろ
 
 おお……4つだけだった。
 俺は心の中でそんな喜びを感じながら手錠魔王をじっと見てみる。

 金髪碧眼、ツインテールならリボンとかがある場所に携帯電話開いた長さくらいの白い角。服はドラゴン○ール、ピ〇コロのコスプレに近い……。
 なんて可哀想な奴なんだコイツは。
 
 「で、俺はコイツをどうすればいいんです?」
 {結構はっきり見えてるけどそいつ霊だからお前に憑依させる}
 「―――へ?」

 言って、再び神(の声)は指をパチンッと鳴らした。
 すると悟○のスピードくらいの速さで手錠魔王が俺に引き寄せられていく。
 いやいやいや!待て!頭と頭でごっつんこするだけだろ!!
 ってか角刺さるんじゃね!?
 
 「ちょっ!!タンマ!待っ……ああああああああああああああああああああ!!!!」

 叫び声とともに、俺は気を失った。



 ん……?どうなったんだ……?
 眼が覚める。……流石に二回死ぬなんてことはなかったようだ。
 目の前に広がるのはさきほどと変わらない天界。
 が……なんか視界がぼんやり。

 {お、眼が覚めたか}
 
 何回こんなことをさせられなきゃいけないんだよ俺は。
 ……あれ?俺さっきのは心じゃなくて口にだしたつもりなんだが。
 声がでない。っていうか全身が言うことを聞かない。

 Hpが0に近いのか?そう思った瞬間、俺の体は勢い欲立ち上がった。

 「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!体GETだぜ!!!!」

 おい待て!何言ってんだよ俺は!!!
 ってかこの喋り方……もしかしたら……

 {嬉しいか、魔王}

 やっぱり魔王か……さっきまでしゅんとしてたのに何でこんなにテンション変わるんだよ。ってかどういうこと?この状況。

 「嬉しい!嬉しいでゴザンス!!!!」

 頼む、そういう喋り方とかは止めてくれ。
 
 {あー簡単に説明するぞ?魔王が憑依したお前は今、二重人格状態みたいな感じじゃ。で、今表に出て体をコントロールしてるのは魔王。叫ぶと入れ替われるから、やってみ?}
 
 何勝手にそんなことしてんだよ。せめて常識人にしてくれ。
 ……叫ぶか。よし、あああああああああああああああああああああああああああ!!

 「ぬあっ!意識が!意識が薄れて…………」

 ちょっとお前黙ってろ。



 「よしっ、戻った」
 {そうか………………一生戻れなかったらよかったのに}
 
 いや、丸聞こえだから。
 俺は手をぐーぱーしたり足を上げてみたりしてコントロールが戻ったことを確かめる。
 体が軽く感じる……おそらくだんだん普通の状態に戻るが。

 ふぅ、と安堵の息を吐いたとき、脳内で怒声が響き渡った。

 『だせ!!!!今すぐここからだせ!!!!体を返せ!!!!!』

 ……魔王の声だ。っていうか俺の体だし。
 
 「魔王の声が聞こえるんですけど……」
 {それは無視。魔王がコントロール握ってるときも同じじゃ}
 「で……これに何のメリットが?」
 
 こんなうるさいやつ、居てても邪魔になるだけなんですが。
 そういえば仮面○イダーの電○って一人の少年にたくさんの人格が宿っていくやつだったな。最終回は寝坊したからパソコンで見たけど。あーっ、あれ面白かった。 

 {魔王は料理と接近戦が得意じゃから腹が減った時とかにコントロールを渡せば便利じゃろ?}

 そのまま世界制服とかされませんかね。
 いや……無理かこんなダメ魔王に。

 『何ぃ!?ダメ魔王だと!!!!!』

 あーあー聞こえなーい。
 
 「……そろそろ行っていいですか?」
 {あぁ、じゃあ送るぞー}

 なんなんだこの異世界トリップ前神との会話は。
 神(の声)がパチンっと指を鳴らす。もう指の鳴らせない俺をおちょくっているようにしか聞こえない。
 そして、意識を失った。


 ――っ……何回意識失わせるんだ。さっきと同じようなこと言ってるけど!
 今度こそ、視界に入ってきたものは違った。
 窓からはっきりと稲妻が見える。赤と金が八割を占めている暗い王室に、血を流して倒れている一人の中年男。周りにはタキシードを着た老人が顔を顰めて立っている。

 ……いきなりどんなバグをしかけてんだアイツは。
 状況を説明すると、絶対王様だろみたいな人が殺されて死んでる。そして現在位置はその王室にある王座の影。

 『ダダダッ♪ダダダッ♪ダーダーん♪』

 うるさい黙れ。
 とりあえずしゃがんだ状態だからまだタキシード老人たちに俺の存在はバレていない。ってかバレたらどうなる。

 ……王様を殺害した犯人にされて死刑か。
 チートで死者蘇生なんてことはおそらく無理。どうせ世界の流れを変えるな、とか思って攻撃系とか少しの体力回復系くらいしか使えない。
 
 何でいきなりヤバイところに放り込まれてんだ俺は。
 ……出る?とりあえず出てみようか。意外と温かい人たちだったりなんてありそうだ。

 「あの…………」
 「くせものだ!!!!捕らえろ!!!!!」

 人生オワタ。勘違い判断乙。
 大声を上げながらタキシード老人たちがこちらへ走ってくる。
 正直後で大変なことになりそうだがここは抵抗するしかないだろう。
 
 ……死なない程度の攻撃か。
 とりあえずオリジナルだけを使うことにしよう。
 
 「空間捻曲(ディズ)!!」

 適当な技名を発しながら、右手を前に突き出す。
 まぁ、あれだ。ドラ○エのスキルみたいな感覚で技を作ろうかと。
 チートの力で、上下左右がバラバラになる。ポケモ○プラ○ナでいう反転世界。
 
 死ぬっていうか……攻撃じゃないな。
 思いながら走って王室をでる。ちなみに俺は脚が遅いのでタキシード老人に服を掴まれそうになった。 
 
 ――っ……どうすればいい。
 ここはおそらく王国。王国側につけとは言われてなかったが王国についた方が普通でいいような気がする。
 魔界行ったらSMプレイされそうだし。
 
 『とりあえず自分が犯人ではないことを証明するのはどうだ?』

 それができれば苦労しない。
 
 『いや、洗脳すれば何とかなる』

 できるわけないだろ!ってかどんだけ外道走ってんだ!!
 ……でも何とか証明だけはしとかないとな。
 嫌われ者の放浪者なんて絶対に嫌だ!
 
 思っていると、王室からタキシード老人が一人でてきた。
 そして、気づけば俺は兵士たちに取り囲まれている。
 乙ですた。

 ……降参して事情を話すか。
 ゆっくりと両手を挙げ、俺は目を閉じた。

 
 
 「ほれ、飯だ」

 無表情の兵士が檻の外からパンを投げ入れる。
 ……俺は捕まった。勿論、話なんて聞いてくれない。連行前、ちらほらと「死刑か?」などの声が聞こえたからこのままだとおそらく予想していたのと同じ展開になるのだろう。
 ……まぁその流れに逆らうつもりでいるが。

 さて、どうする……?
 檻の中、一人あぐらを組んで目を閉じる。
 とりあえず攻撃とか暴力に走ったりするのは止めておこう。さらにヤバイ状況になる。
 っていうか何で王様死んでんだ?

 『魔界の魔王が攻撃をしかけてきたんだろ』

 あ、なるほど。死んでパニック状態になっているところを攻める作戦か。
 あんまり頭捻らないんだな。
 ……証人がいればなんとかなるんだがな…………。

 『人体練成』

 外道だ。俺の心を自分色に染め上げるのは止めてくれ。
 裁判行ってから考えるか……あれ?裁判あるのかな……?

 「おい、起きろ」

 兵士の声が聞こえ、閉じていた目をゆっくりと開ける。
 見ると、檻のトビラが開かれていた。……まぁ逃げてもいいぞ、ってことではないんだろうけども。

 「裁判所に移動だ。喋るなよ」

 あ、裁判あるのか。安心安心。っ……弁護人なしで勝てる気がしないな。

 『俺がいる』

 誰もいないな。しょうがない、一人でがんばるか。
 いざ、ってときにはもう外道通って人体練成するしかないが。
 不安に思いながら、俺は裁判所へとぼとぼと連れて行かれたのだった。



[28417]
Name: 読み手@オタ(文章、その他)&浅木幸介(ストーリー)◆9889f941 ID:12489add
Date: 2011/06/22 12:27
すいません。今回、こちらではかなり読みづらいかもしれません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

 「猫裁判長!被告人を連れてきました!」

 ……猫?
 両手に手錠をかけられた俺は、裁判所ではなく裁判室に案内された。
キビキビとした声を発しながら兵士がノックすると、中から低い男の声が返ってくる。

 「入れ」
 「はい!失礼します!」

 当然のような流れで重い扉を開けると、テレビドラマでよく見る裁判所と同じ光景が目に入った。
 ………………ただ一つバグってるが。
 苦笑しながら、裁判長がいるはずであろう場所を見上げる。

 そこには、スーツ猫が…………。
 あーなるほど、だから猫裁判長なんですね。へーはー……
 
 なんでだよっ!!
 アイツはどんなキャラグラフィックを使ってるんだこん畜生!!
 バグじゃなくてセンスの問題だぞこれは!

 言うのも変な感じだが、赤毛金眼だ。
 サイズはせ○とくんくらいと言えばイメージしやすい……かもしれない。

「何してるんだ!さっさと歩け!」

 すいません、今回は突っ込みタイムもとらせていただけないようです。
 とぼとぼと中心に歩いていく、「正座しろ」との声が聞こえると、
 逆らわずに正座して……やった。
 自分の意思じゃないんだからねっ!とでも言い返したい。
 絶対にひかれるが。

 「では、これより裁判を始めます。きりーつ」

 帰りの会的なノリなのか?ってか後ろで両手止められてたら立てんよ。
 俺は顎だけをぷるぷると上げ、必死ですアピールをする。
 「礼」、「着席」もなんとか乗り越えた。

 「えーでは判決に入りたいと思います」
 「ちょっと待てええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
 
 ピンポンパンポーンで省略されたわけではない。
 何故かいきなり判決が下されることになっている。いやマジで待てよ。
 だが叫び声を上げた瞬間、兵士が左腰の鞘から剣を抜こうとしていたのですぐに俯いた。
 冗談じゃないか……これがこの世界の裁判……じゃなくて囚人処理。

 「死刑、準備!!!」
 「イエッサ!!」

 お前ら何か途中でキャラ変わってないか? 
 そんな思いを無視して兵士二人が左右から俺の首に剣を近づけ、刃があたるスレスレでピタリと止めた。
 ……もういいや、外道を盗んだ三輪車で突っ走ってこよう。
 
 手錠に、魔方陣(すいませんぐちゃぐちゃです)を描き、小声で技名を……。

 「人体練成(ヒューマン・クリエイト)」

 間違った英語だが正しく言うと長いのでこんな感じでいいだろう。
 そして技名発言と同時に、裁判室の扉が勢いよく開かれた。

 「待って!!犯人は私よ!!」

 やっべぇなんか変なのだしちゃった。……ハ○センボンの春○ね。
 兵士が、俺が、猫裁判長が言葉を失う。
 しかもどうやら練成後のコントロールは不可能なようで。
 
 「すいませんでした。ってことで自分の首を斬ります」

 瞬歩並みの速さで自分の傍に移動して、ひょいと兵士の剣を取る。
 あ……あの体でこのスピード……ニュー○イプか!?
  
 「バイバイこの世」

 そこから先はグロいのでご想像にお任せしよう……なんて言ってみる。
 実際裁判室に血が飛び散るだけの話、というのは皆わかってるだろうしね。




 『いや~、お主も悪よの~』

 うるさい黙れ。
 裁判騒動を終え、七割程度疑いが晴れた俺は応接室に案内された。
 勿論今度は普通のコンビニ店員的対応で。
 ソファとテーブルしかない殺風景な部屋だが……客に茶をださんとはな。

 実際、テーブルの上にお茶セットがあるがこういうのは客がやるもんじゃない、
 だが……お茶はほしい!
 まぁ後で飲めばいんだけども。

 「いや、本当にすまなかったな」

 セミロング赤髪茶眼(おそらく美形)の女が男口調で向かいのソファから話しかけてくる。いやぁ本当に俺以外は外道だな。
 これは男に女だせばなんとかなるだろ?という考えから来ているに違いない。
 普通ならタキシード老人か……猫裁判長(でてほしくないが)がでるはず。

 俺もさっき外道突っ走ってきたが三輪車だから俺は外道じゃない
 ということにしてほしい。ちなみに三輪車も盗んだら犯罪です。
  ……とぉ。どうしようかな。
 ここからアドベンチャーゲーム的には選択肢が別れたりするわけなんだが……
 
 1、俺は勇者に、なる!
 2、俺は海賊○に、なる!
 3、俺はハーレムに、なる!
 4、俺は放浪者に、なる! 

 この4つかハーレム放浪者とかのミックスしかない。
 キモオタの俺には全く合った選択肢がないんですよね。
 キャラは……せっかくチートなんだしリア充キャラでいこうか。
 
 「それはいいからさっさと今後の流れを説明してくれ」
 「今後?何言ってんだ?」

 へ?

 「いや……今後って言ったら勇者になるとか……」
 「悪いがここにはもう勇者がいる」

 ちょとタンマ。………………なるほど、よくわかりました。
 少し俺は油断していたみたいだ。まずこの世界はゲームじゃない。
 イコール、流れとかなしの自由。美少女とかは簡単に見つからない。
 &……見つかっても自分は眼中にない。
 
 主人公(イコール俺)がただ死にそうな思いをしていくだけのクソゲーだ。
 あ、ゲームじゃないか。
 
 どうするかな。放浪者ルートがほぼ確定しているんだが……
 ここはもう放浪者になるしかないな。
 ただし、国の行き来自由にしてもらおう。魔界も王国、どちらも自由に行ける。
 そんなチートさんを目指してみようか。

 ―――となれば!ふふふはははHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!

 『お、覚醒したか』

 うるさい黙れ。
 よし……やってみたかったこと1、VS勇者をやろう!
 勿論邪魔するやつは全て粉砕、殺害、あの世行きだあああ!!!

 「おい自称美形」
 「は?」

 まぁ自称してなかったけど個人的にそれが合ってると思いまして。
 は?って何?俺の最終目標は世界制服なんですが。

 『え?協力?』

 いやお前は奴隷にする。

 「その勇者と対談((デスマッチ))したい、いいか?」

 無理何て言わせないがな。
 グー型のハンマー武器なんて言うんだっけな……あれで頭蓋骨粉砕したい。

 「OK,呼んで来るよ」

 言って、自称美形は席を立つ。
 完全に外道人間となってしまった俺だが……一応正気だ。
 とりあえず今日は果たし状だけ渡すつもり。
 よし、書いてみよう。

 「創造(クリエイト)」

 紙と筆ペンをテーブルにだす。なんだかんだで便利なチートだ。
 ミスしたらやばいな……てか俺、何年も文字書いてないぞ?
 引き篭も……パソコンにはまってたからな。
 とりあえず普通っぽく書くか。

 【勇者さん、お元気ですか?とりあえず私は元気です。
  あれからもう4年が経ちますね。
  息子さんも新しいお母さんが欲しいと思うのでそろそろ
  再婚を考えてみるのもありかもしれません。
  オススメはCMで話題のあのサイト!URLアドレス……】

 違うな。ってか何故途中で気づかない。
 これ……あぁ……意外と深刻な裏がありそうだ。
 書き直しだな。

 「創造(クリエイト)」

 再び紙を出す。
 次こそはしっかり果たし状っぽくしなくては。

 【あんぱんあんぱんぱんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんぱんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱん】

 きた!あんぱんの呪○!
 ってこれも違うし!!なんでこんなもん書いてんだ俺は!

 『なぁ』

 ん?何だ?ゴキブリなら粉砕するぞ?勿論お前の角で。

 『いや……完成したものをチートでだせばいいんじゃ……』

 あぁそうですね。





 「失礼します」
 
 爽やかな声とともに、王冠&マント王子服の勇者野郎が部屋に入ってきた。
 勿論、俺は顔を顰めて睨みつける。

 「あ、す……すわりますね」

 どうしたのかな?なんか怖いことでもあったのかな?
 あったならあんぱんを食べるといいよ?
 とりあえず、顔を戻そうか。
 
 「来てもらったのは他でもない、これを渡したかったんだ」

 言いながら、ふところ……ではなくポケットから果たし状を渡す。
 勿論、完成品だ、どこもミスはない……はず。

 「開けるのは夜にしてくれ」

 しまった失言。これじゃラブレターみたいな感じになる。
 ……つけたそうか。

 「ラブレターではないから安心してくれ」
 「はぁ……」
 「そんなことわかっている」
 
 自称美形さんはご機嫌斜めのようです。
 まぁ……人に使われたことなかったんだろうな。これだからリア充は困るんだよ。
 あ、勇者もリア充か。
 ちなみに勇者は茶髪黒眼。殴りたくなるほどの美形。
 最終的に殴るがね。

 「じゃあ俺はこれで……自称美形」
 「んだよ」

 どこの不良だ。

 「部屋空いてるか?詫びとしてだしてくれる……と思ってたんだが」
 「あーあーはいはい。出してあげますよ、とんでもなくボロいのをね」

 人体練成でリンチされたいのか?
 ってか野宿でもよかったな。チートで豪華テント作ればいいわけだし。
 自称美形が部屋をでると、俺は扉の前で勇者を振り返った。

 「殺してやんお」

 ……退室。
 ちなみに対戦時刻は正午、場所は庭園と書いた。
 庭園がどこか知らないがおそらくあるだろう。
 チートでマップだせば迷子にもならないから便利だ。
 まぁ庭園にはたくさんのお花が咲いているだろうが俺には関係ないな。
 全て焼け野原に変えてやんよ。




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