'11/6/22
社員追悼 マツダ事件1年
広島市南区のマツダ本社宇品工場で暴走車に社員1人の命が奪われ、11人が重軽傷を負ったマツダ工場暴走事件は22日朝、発生から1年を迎えた。被害に遭った男性は「事件を思い出したくない」と言葉少な。殺人罪などで起訴された引寺(ひきじ)利明被告(43)はこの日、広島拘置所で中国新聞の取材に応じ「(事件のあった)7時半すぎに『1年前の今日じゃったのう』と思ったくらい。長いようで短い1年だった」と話した。
暴走車が侵入した東正門付近。事件が起きた時刻には、普段通り出勤した社員たちが足早に工場に入って行った。男性社員(58)は「事件直後はとにかく信じられず、動揺した」と振り返る。工場内の現場の一角には、花が手向けられる慰霊碑があるという。「前を通るたびに思い出す。いたたまれない」
暴走車にはねられ負傷した男性は「ようやく普通の生活に戻れたので、そっとしておいてほしい。亡くなった社員や社会復帰できないかもしれない社員もいる。言葉にならない」と話した。
一方、引寺被告は「いろんな思いがあるのは遺族の方じゃと思う。わしは普段と変わらん一日。謝罪の気持ちは薄い」と述べた。
同社は事件後、東正門を含めた3カ所で、従来の警備員による監視に加えて機械式ゲートや監視カメラを設置し、安全対策を強化。同門の入り口には「警備強化中」と書かれた看板も置いた。
死亡した浜田博志さん=当時(39)=を追悼する慰霊式をこの日、敷地内で開催。「事件は忘れることができないもので、重く受け止めている」とコメントした。
【写真説明】引寺被告が車で侵入した東正門。事件後、セキュリティーが強化された(22日午前7時50分、広島市南区仁保沖町)