原子力ロビー「電気事業連合会」の力と実態電力会社幹部は3年間で5600万円を自民党政治団体に献金、「味方作り」を推し進めてきた

2011年04月18日(月) フライデー

フライデー経済の死角

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電事連が入る経団連会館。名門企業が軒を連ねる老舗ビルに本部を構えるあたり電力業界の力がうかがえる

 '87(昭和62)年に上梓した『危険な話』(八月書館)で原子力発電、放射性廃棄物の危険性を突いた作家の広瀬隆氏は、「原子力ロビー」の〝活動〟を身をもって体験した一人だ。広瀬氏は証言する。

「電事連が、『危険な話』に誤りがあるとするパンフレットを日本原子力文化振興財団(経産省所管)に作らせ、さらに新聞に意見広告を出して、徹底的に私を攻撃したことを覚えています。

 また、'88年か'89年のことでしたが、当時放送していた『11PM』(日本テレビ系)という番組に出演した際、原発を叩いたことがありました。生放送だったので編集されなかったのですが、CMの合間に控え室で番組ホストの藤本義一さんといると、テレビ局の営業セクションの社員が飛び込んできて、『(私に)しゃべらせるな!』『広瀬を映すな』と、藤本さんを怒鳴りつけたんです。

 藤本さんは、『事実を言って何が悪い!』と一喝し、引き続き原発の危険さを話させてくれました。雑誌に寄稿した際も経験しましたが、反原発の主張を展開すると、私ではなく、私が登場するメディアに圧力をかける。それが彼らのやり口でした」

 CM総合研究所の調査(東京キー局5社対象)によると、電事連のCMの放送回数は【'08年=406回】【'09年=365回】【'10年=356回】である。年間2000社がCMを放送しているといい、電事連の放送回数のランキングは、【'08年=596位】【 '09年=627位】【'10年=660位】となる。「毎日1回と少々、どこかの放送局が流している頻度で、順位としてはかなり高いほう」(CM総研広報担当者)だという。

 紙媒体にも電事連の広告は出稿される。ある民間の広告調査会社の週刊誌や月刊誌など主要10誌を対象にした調査で【'08年3月~ '09年2月=166ページ】【'09 年3月~ '10年2月=165・65ページ】【'10年3月~ '11年2月=141ページ】の出稿があった。広告業界関係者が説明する。

「調査対象に含まれているA誌のカラーページの広告が1ページ185万円。その価格は多少の割引があるとはいえ相場ですから、10誌だけで年間約2億6000万~3億円が、電事連から出版業界に流れ込む計算になります」

 広瀬氏の話に登場した営業社員ならずとも、相当量のCM出稿を見込める電事連に〝配慮〟する声がメディア内部から上がることは想像に難くない。この広告関係者によれば電事連がよく口にするのは「味方を作りたい」という言い回しだという。前出・広告業界関係者が続けた。

「文化人をはじめ各界に影響のある人物を広告に起用するなどして、原子力政策に理解あるサイドに立ってほしいという意味です。その人物がはっきりと原発賛成を叫ばなくても構わないんです。原発推進の立場の電事連のCMに名のある人が登場する。それで用は足りるのです」

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