【ウィーン会川晴之】国際原子力機関(IAEA)閣僚級会議に出席中の海江田万里経済産業相は20日、当地で会見し、東京電力福島第1原発1~5号機に使われている米ゼネラル・エレクトリック(GE)社が開発した原子炉格納容器「マーク1」について、安全性の観点から、廃炉を含めた検討が今後の課題になるとの考えを示した。震災後、閣僚がマーク1の廃炉の可能性に言及したのは初めて。
海江田経産相は「(マーク1は)40年以上が過ぎている。(設置から)30年で大規模点検をし、以後も頻繁に点検をしている」とした上で、「どんな安全対策をとれば良いか、一定期間がきたら廃炉にすべきかどうかが課題だ」と語った。
IAEAが過去に原子力安全・保安院を経産省から独立させるよう助言したものの「生かされなかった」と指摘し、「原子力に関係した人の間で安全性に対する根拠の乏しい考えがあった」と批判。原子力安全・保安院の独立を「2012年がめど」との考えを示す一方、原子力利用を後退させる考えはないことも強調した。
マーク1は、GE社が60年代に開発。耐震強度の問題が指摘され、米原子力規制委員会(NRC)は80年に再評価したが、「(問題を)無視できる」と結論づけ、日本も同様の国内指針を作った。同型炉は、米国は地震の少ない東部に24基、日本は福島第1や敦賀、浜岡(廃炉決定済み)、女川、島根の5原発に計10基。ほか台湾2▽スイス1▽スペイン1。
毎日新聞 2011年6月20日 21時41分(最終更新 6月21日 0時48分)