2011/06/21 光丘久和

光明が見つかるか 福島の農業(下)

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(上から続く)

左から菅野さん、小川さん、山際さん

喜多方の小川未明さんは、澤登先生に教わって有機農業をやっていた。原発から120キロメートルというのに、農家は事故が起きる前と起きたあとでは一変した。どう対応してよいかわからず、もやもやしていた。5月19日にガイガーカウンターを借りてきて計ったら、空気は0.15マイクロシーベルトだった。肥料も地産地消でやっているので計ったら3.5マイクロシーベルトだった。これでは使えないので、外からもってきた。

福島は日本一、耕作放棄地が多い。今回のことでますます放棄地が多くなるだろう。原発から離れているが、ダメージは大きい。農家が農業できないというキビしさを理解し、どう復活させるかを考えなければならない。

ふたたび菅野さん。最初は耕すなということだったが、カリがあるとセシウムを吸収しにくいという。セシウムを農作物に吸わせないよう、できるだけ肥料や堆肥を入れ、ボカシ、木酢液なども入れて深く耕し、放射性物質を摂取させないようにと考えている。ヒマワリ、テンサイもセシウムを吸うというので、種を取り寄せている。

輸入農産物が増えれば放棄地も増え、その結果アレルギーなども増えた。日本の食生活を見直し、暮らしの転換を図るべき時だと思う。いままで東京の暮らしは、東北からの出稼ぎと東北の農作物と電力で賄われてきた。その時に原発事故だからやりきれない。科学者はデータを出さず、生活の見通しがつかない。ここにきている人には、原発ってなんとなく気持ち悪いから、福島県産のものは信用できないと思ってほしくない。

恵泉の澤登教授(左)と会沢さん

山際さん。安曇野ではカッパラーが500本売れ、5月上旬の葛西臨海公園では3キログラム入りのコメがすぐに売り切れてしまった。お客さんと対話できることで元気になる。日も東京のお客さんが「1000円の加工品パックを350パック送ってくれ」というので、「なにに使うんですか」と聞いたらゴルフコンペの賞品にするのだという。

また、家族が少ないのだから、小分けして売らなければ売れない。ワサビの形の悪い物をなんとかして使えないかと言われて、福島産のナメコとワサビを使って「安曇野2号」という商品を企画している。リンゴのピクルスも考えている。とにかく発信することが大事だ。

さらに関係者からは、「山梨や長野に避難して農業をやらないかという話があり、見に行ったこともあるが、飯舘村では自分たちの汗と涙がしみ込んだ土地から離れたがらない。みんなが思っているのは、避難先から飯舘村に帰ること。気候が違うところで農業ができるのかと危惧している。自然と深い関わり、喜びというものがあり、経済活動だけで考えてはいけない。その地に積み上げてきたものがあるのだから」との指摘があった。


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