首相:「50日延長」の3党合意拒否 決着22日持ち越し

2011年6月21日 21時28分 更新:6月21日 22時21分

閣議を終え国会を後にする菅直人首相(中央)=2011年6月21日午前9時31分、藤井太郎撮影
閣議を終え国会を後にする菅直人首相(中央)=2011年6月21日午前9時31分、藤井太郎撮影

 民主、自民、公明3党は21日、東京都内で幹事長会談を開き、22日に会期末を迎える通常国会を50日間延長して11年度第2次補正予算案と特例公債法案を成立させることでいったん合意した。菅直人首相が成立に強い意欲を示す再生可能エネルギー固定価格買い取り法案についても延長国会で審議入りすることを合意文書に盛り込んだが、8月上旬までの退陣が事実上確定することに首相が反発。菅首相は21日夜、民主党の岡田克也幹事長と首相公邸で会談し、延長幅を70日間程度に修正する方向で野党と再調整するよう指示した。会期延長の決定は会期末の22日に持ち越した。

 野党が参院で多数を占める「ねじれ国会」は、与党執行部が野党と連携して首相に退陣を迫り、首相が突っぱねるという異例の混乱状態に陥った。

 民自公3党は21日、午前と昼に幹事長会談を重ね「50日延長」の合意文書を作成。東日本大震災の復興経費を計上する第3次補正予算案については、首相退陣後の新内閣が次期臨時国会に提出することも盛り込まれた。

 首相はこれに反発した。再生エネルギー法案の成立が確約されていないばかりか、延長国会会期中の退陣が確定するからだ。

 民主党は会期の延長幅を各党に伝える与野党幹事長・書記局長会談を21日午前11時半に設定していたが、首相が合意を拒んだため、午後1時半、2時半と2回遅らせたうえ、結局22日に延期した。会期延長を議決する衆院本会議は、同日午後1時に設定された。

 21日夜の首相と岡田氏の会談に同席した枝野幸男官房長官は「できるだけ円満に野党の理解を得て明日延長を決めたい。その最終調整を幹事長にご努力いただく。そういう方向で考え方は一致している」と記者団に語ったが、いったん合意に踏み切った民自公3党内には首相への不信感が広がる。

 自民党の逢沢一郎国対委員長は21日の記者会見で「唐突に首相が持ち出した再生エネルギー法案は拙速に処理できる中身ではない」と延長国会での成立に協力しない姿勢を示した。民主党の平田健二参院幹事長も「(赤字国債の発行に必要な)特例公債法案はどうするんだ。それを忘れて新エネルギー? 予算の執行ができないんだよ」と首相への不快感を示した。

 民主党内には「8月末まで70日間延長すればいい」(参院幹部)との声もあるが、野党側の協力が得られる見通しは立たない。民主党の安住淳国対委員長は21日の記者会見で「会期延長について野党第1党(自民)、第2党(公明)にも賛成していただくような幅が大事だ」と述べ、両党が菅首相の延命策と疑う大幅延長は困難との認識を示した。【野口武則、吉永康朗】

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