松山市は20日、市発注工事の「裏金」捻出疑惑に主導的に関与したと指摘される元職員に対し、特定業者の下請け選定を要望したとされる元請け業者との会食が職員倫理規定に抵触する可能性があるとして、聞き取り調査のため文書で面会を求めたことを明らかにした。
6月定例議会で土井田学氏(自民)の一般質問に理事者が答えた。
元職員と元請けの不明朗な関係は、裏金疑惑に関する元請け側の社内調査報告書で判明。2001年当時の公営企業局幹部(02年死去)が元請けの営業担当者を会食に呼び出して選挙応援を要請したほか、同席した元職員が特定業者を下請けに使うよう働き掛けた疑いが浮上している。
文書は9日に郵送。渡辺滋夫公営企業管理者は20日の市議会で「現在までに面会するとの返事はないが、さらにアプローチしていきたい」と答弁。元職員は裏金疑惑への主導的関与が指摘されているが、「倫理規定に抵触する可能性のある元職員と同一人物か不明」との姿勢を崩さず、「疑惑に関する事情を聴くことはできないと考えている」と述べた。
また、土井田氏は、孫請け会社社長(56)が実名を挙げて関与を指摘した稲葉輝二副市長に対し、文書抗議などの経緯を質問。稲葉副市長は「6日の県庁での記者会見の報道を見て、発言内容について個人の立場で抗議した」と述べ、今後について「弁護士とも相談しながら毅然とした対応をしていきたい」と答えた。
土井田氏は野志克仁市長に「真相解明への決意」を求めたが、市長答弁はなかった。
中西智氏(松山維新の会)は疑惑に関する市民への説明責任をただし、野志市長は「一方的な言い分のみで直ちに判断するのではなく、(専門委員による)調査の検証結果などを踏まえて総合的に判断し、適切に対応する」と答えた。
一般質問は21、22の両日も継続。裏金疑惑に関する質問も予定されている。