沖縄タイムスは、23日の「慰霊の日」を前に県内の戦争体験者114人に戦争体験の継承や、基地問題についてアンケートを実施した。戦争体験が次世代へ「あまり伝えられていない」「全く伝えられていない」と考える体験者は39人おり、3割強が戦争体験の継承に危機感を持っていることが分かった。沖縄に米軍基地が集中することで戦争に巻き込まれる不安を感じることが「常にある」と答えた人は64人で、半数を超えた。「時々ある」32人を合わせると、体験者の8割超が基地集中による戦争への不安を抱えている。
戦争体験が次の世代へ「全く伝えられていない」と答えたのは3人だったが、「あまり伝えられていない」の36人を加えると、回答者全体の34・1%が沖縄戦の体験が継承されていないと感じていた。
一方、「ある程度伝えられている」が最も多く53人にのぼり、「伝えられている」とした20人を加えると63・9%の人が一定、継承されているとした。
次世代へ戦争体験をどう継承するか自由記述で聞いた(複数回答)ところ、「学校教育の充実」が最も多く42人。次いで「体験者の証言を聴く」28人、「資料館・資料・教材の充実」27人だった。
ほか、「若い世代の意識を高める」「語り部など後継者の育成」を重視する回答があり、学校教育や体験者の証言に加えて、若者世代や後継者の取り組みへ期待する考えもうかがえる。
子供や身内に戦争体験を積極的に伝えているかの問いに、「伝えている」が50人と最も多く、「ある程度伝えている」33人を合わせると約7割が自ら体験を継承。一方、「あまり伝えていない」「全く伝えていない」も31人おり、「体験がつらくて話せない」「子供や孫の関心が低い」などの理由を挙げている。
戦後66年間、米軍基地を減らす政府の努力を尋ねた質問では「全く努力していない」57人、「努力が不十分」40人と8割を超える人が政府に不満を示した。「努力した」と評価した人はゼロだった。
アンケートは、1945年生まれ以前の人が対象。アンケート用紙に直接記入してもらうか、記者が聞き取りした。回答者の平均年齢は79歳、最年少は66歳、最高齢は94歳。