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政局:「再生エネ法も」に自民不信…退陣条件追加

 22日の国会会期末を控え、政府・民主党は菅直人首相の「退陣条件」を巡り大詰めの調整を続けた。党執行部は特例公債法案と11年度第2次補正予算案の成立を想定してきたが、首相のこだわりに配慮して再生エネルギー法案の成立も3番目の条件として加える方針だ。ただ、自民党が同法案を条件に加えることを受け入れるかどうかは不透明だ。【朝日弘行、岡崎大輔】

 ◇岡田氏、消極的

 「再生可能エネルギーは大事ですよね」。首相は20日夜、政府・民主党協議のため首相官邸から公邸に移る際、記者団の問いかけにこう答えてみせた。

 民主党の岡田克也幹事長は同日の与野党幹事長・書記局長会談で、首相退陣の条件として、再生エネルギー法案を含む3点を提示した。だが、会談後は同法案の位置付けについて「首相の強い思いを紹介した」と強調。あくまで「首相個人の思い」との考えをにじませた。

 岡田氏は15日の民主、自民、公明3党幹事長会談で、特例公債法案と2次補正が成立すれば首相は退陣するとの見通しを伝え、自公両党も基本的に受け入れた。自民党の石原伸晃幹事長は岡田氏を「自信を持っていきなさい。思いは一緒だ」と励まし、一度は与野党間に信頼関係が生まれたかに見えた。

 だが首相はその後、再生エネルギー法案の成立に繰り返し意欲を表明。自民党内に「特例公債法案と2次補正だけでは首相は退陣しない」との疑念が生じた。同党幹部は20日「審議で時間がかかるネタを作っているだけだ」と切り捨てた。

 自民党との信頼関係が壊れることを懸念した岡田氏は、条件の追加に抵抗。17日には石原氏に「首相があれやこれやといろいろ言ってくる」とぼやいた。一方の首相は「岡田氏が再生エネルギー法案を条件に加えない」と不満を漏らした。

 20日夜の政府・民主党の幹部協議では、再生エネルギー法案の成立を目指す方向では一致したものの、岡田氏らは首相の退陣表明で、特例公債法案と2次補正の成立を確実にすることを優先したい考えを強調。首相は「退陣表明すればそれらの成立の担保はとれるのか」などと述べ、与野党合意の実現に懐疑的な認識を示したという。

 民主、自民両党に相互不信が強まるなか、カギを握る可能性があるのが公明党だ。同党幹部は20日、再生エネルギー法案について「(首相の)延命であっても、法案審議には応じざるを得ない」と語った。

毎日新聞 2011年6月21日 2時36分(最終更新 6月21日 3時17分)

 

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