2011年6月21日 2時33分 更新:6月21日 2時56分
元自民党衆院議員で昨年12月に離党届を出した愛知県の大村秀章知事が、地盤だった衆院愛知13区内で、自民党の政党ポスター掲示板に自らが現在率いる地域政党「日本一愛知の会」のポスターを張って使用していることが分かった。掲示板には「自由民主党」と大きく記され、自民党県連は「自民党の看板を知事が利用している」として掲示板の撤去などを求めている。
問題のポスター掲示板(縦85センチ、横90センチ)は大村知事が衆院議員時代に使っていた。「自由民主党衆議院議員 大村ひであき」と書かれている。知事側はこの掲示板に「愛知の会」のポスターを掲示。関係者によると、愛知13区(碧南、刈谷、安城、知立、高浜市)に約1000枚あるという。
自民党県連は「政党名の削除、または掲示板の撤去を」と再三要請したが、知事側は応じていないという。
安城市で区長を務める男性会社員(59)は地元にある掲示板の撤去を求めて今月上旬、大村知事の事務所に電話した。男性によるとスタッフが「この地域に『大村』の名前を残したい」と話し、設置継続を求めたという。
また、安城市にある大村知事の事務所ビルには窓などに現在も「自民党愛知13区支部 支部長 大村ひであき」と大きく掲げられている。知事の後任の自民党13区支部長は決まっていない。
自民党県連関係者は「自ら離党届を出しておいて自民の名称を使い続けるのは道理に合わない。無党派の多い名古屋と自民支持者の多い13区で党名を使い分けしている」と批判する。
大村知事の事務所は毎日新聞の取材に「人手や費用が足りず、放置してしまった。問題があるとは思っており近く自民党の党名を削除する」と答えた。
大村知事は2月の知事選に立候補。自民県連が推す新人候補らを破って初当選した。出馬にあたり昨年12月に自民党に離党届を提出。反党行為と認定され、党本部から除名処分を受けたが、「弁明の機会がなかった」として異議を申し立て、現在党本部が再審査している。【三木幸治】