測色

〜 測色方法 〜




測色

色の表示に用いる数値や記号等の表色値を求める事。広義では標準色票と比較して表色値を定める事を含み、狭義ではCIE表色系の三刺激値X、Y、Zを求める事を指す。


〜 物理測色方法 〜



物理測色方法

色を測定する物体を、定められた照明及び受光条件下で、測色用標準光源で照明し、標準観測者が色を見た時の心理物理的な量を測定して数値や記号で表す事で、三刺激値を色彩計を用いて決定する方法。
分光測色方法の方が、刺激値直読方法よりも正確な測定値を得られる。


分光測色方法(spectrophotometric colorimetry)

光と眼と物に基づく測色方法で、標準光源D65と観測者の特性である等色関数の値を用いて試料物体の分光立体角反射率のみを測定し、その値から計算によって三刺激値(XYZ)を求め示す方法。更にマンセル表色系の三属性等に変換され色が表示される。
測定は一般に、分光分布反射率が判っている標準白色面との比較測定により行う。

分光測光器(spectrophotometer)

色の強弱や波長の組成を測る為に光を各波長に分ける装置を分光器、光のエネルギーを電気信号に変換する装置を光電素子と言い、電流計をセットした測光器を組み込んだ光学機器を分光測光器と言う。
光の各波長ごとの強弱が測定でき、測定される波長の範囲と細かさは使用する分光測光器の機種により異なり、第1種分光測色方法第2種分光測色方法に分類される。

第1種分光測色方法

試料や標準白色面をスペクトルランプや波長検定用フィルタを用いて波長の異なるスペクトルで順次照射し、各波長における反射率波長精度有効波長幅測光目盛りの直線性等を測定する。
波長範囲380nm〜780nm有効波長幅5nm或いは10nm、測定値から試料の反射率を測定する。
第1種分光測光器は、その測定法により波長走査型分光測光器とも言い、第2種分光測光器より正確さに優れている。

第2種分光測色方法

総合的に各波長での測光値が得られる。
回析格子等を用いて分散されたスペクトルの結像面にアレイ状の受光素子(シリコンフォトダイオードアレイ等)を配置し、分光立体角反射率を測定する。
波長範囲400nm〜700nm有効波長幅20nm
第2種分光測光器簡易分光器又はポリクロメーターとも言い、測定時間は短いが各波長の細かい測定は出来無い。
対象の分光反射率がフラットな場合は差が出ないが、分光反射率がピークを持つ高彩度色の場合は差が出る。


刺激値直読方法

標準の光に類似した光源の光を試料に照射し、その反射光を受光器とフィルターを組み合わせCIE等式関数のx(λ)y(λ)z(λ)に近似させた光電色彩計(photoelectric colorimeter)により分光せずに三刺激値を直接測定する。
分光感度補正用フィルターにはガラスフィルターを用いるが、等式関数と光電色彩計の分光応答度との間に僅かな差異が生じる。この測色誤差を考慮する必要はあるが、試料を簡単な操作で短時間に比較的正確に測定出来る為、工業的に広く用いられている。


〜 視感測色方法 〜



視感測色方法(visual colorimetry)

視感想色方法の一種として視感比色方法があり、試料とそれに等しい色を予め用意された刺激値(三刺激値(XYZ)又は色度座標(xyY)が判っている標準色から視感的に選び、試料の測定値に置き換える方法。
色シリーズとしては標準色票或いは色光の混色が用いられ、試料と選定した色の一致・不一致の判定は観測者の視感覚によって行う。測定の際同じ試料に対しても、観察者、照明、受光の幾何学的条件に注意する。
視感色彩計には反射光混合型や透過光混合型があり、物理測定が困難な試料の策定や等式関数の測定、視覚メカニズムの検討用等に用いられる。


視感比色方法(色の直接比較法)

試料の色と同色に見える色を標準色票の中から探し、その表色値を試料色の表色値とする方法。マンセル表色系に基づくJIS標準色票を用いると、試料色のHV/Cが求められる。
色の直接比較は布地、染料、塗料或いは印刷の分野で使用され、比較方法についてはJIS Z 8723:表面色の視感比較方法に規定されている。
試料色と標準色票等は、北窓昼光(自然昼光)か色比較用照明ブース(人工昼光)の下で観察する。自然昼光の場合は季節や太陽高度を考慮し、利用時間を日出3時間後から日没3時間前迄が望ましい。人工昼光は、色比較用ブースに国際照明委員会(CIE)の標準イルミナントD65に近似する分光分布を持つ常用光源D65が用いられる。
試料の色指定或いは色を記号で表したい場合は、その目的に応じた標準色票を選定する事が望ましく、マンセル色票、JIS標準色票、DIN色票、NCS色票等がある。
対象の大きさや形状は同じで、表面状態も出来るだけ等しい事が望ましく、大きさと観察距離は視角約2°又は約10°とする。
照度は1000〜4000lx、45度方向から照明し垂直方向から観察する又は垂直方向から照明し45度方向から観察する。


混色による測色

複数の色光を加法混色や減法混色によって試料面色と等色させ、各色光の混色量から試料色の表色値を求める方法。CIE RGB表色系の等式関数はこの方法で定められ、この方法に用いられる色彩計を視感色彩計と言う。

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