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私が見た大津波 3.11大震災
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7時間、電柱にしがみつき/庄子喜一さん=仙台市若林区二木山王・無職

 電柱にしがみついているのは私です。7時間ほどこの状態が続き、「もう駄目だ」と死を意識したこともありました。
 地震の時はテレビを見ていました。近所にいる叔母の様子を見に行き、会えずに戻ると、妻(59)が「津波が来る」と叫びました。家の外に出て、バス通りを2人で走ると、下が黒く、上から白いしぶきを上げた津波が来るのが見えました。
 妻は何とか民家の2階に上げてもらうことができましたが、私は足がついていかず、津波に追い付かれてしまいました。思わず近くにあった電柱につかまりました。
 水が増えて体が浮いたので、電柱の高い所に登ることができました。目の前に流されてきたビニールハウスが壁となり、水の勢いを止めてくれたのが幸いでした。
 3時間ほどすると、松の木が流れてきました。これに座るような形で、電柱のそばで水が引くのを待ちました。寒さで震えが止まりませんでした。それでも眠気に襲われました。「大丈夫かー」と妻たちが声を掛け続けてくれなかったら、生きていられたかどうか。
 顎の辺りまで引いた水の中をごみをかき分けて進み、妻がいる民家の2階にたどり着いたのは午後11時ごろでした。


2011年06月20日月曜日

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