【萬物相】オフィスでの過度な露出
おととし、英リーズ大学心理学科の研究チームが女性研究員4人にそれぞれ露出度の異なる服を着せ、ナイトクラブに行かせた。男性たちがどんな服装の研究員にどれだけ近づくかを観察したところ、体を40%ほど露出した研究員が、それより露出の少なかった研究員の約2倍の男性からダンスに誘われた。研究チームは撮影した70時間分の映像を分析し、女性が最も魅力的に見える露出度は40%だと結論付けた。
40%の露出とは「膝上・ノースリーブ」程度の服装だ。だが、露出度が50%を超えると、近づく男性の数が一気に減少。研究チームは「過度な露出は遊び人の印象を与えるため逆効果だった」と分析した。そうかといって、女性の露出が必ずしも性的な意味を帯びているわけではなく、堂々とした自己表現、秩序や権威への挑戦、自己愛の表現ともなり得る。
今年1月にカナダのヨーク大学で行われたセミナーで、ある警察官が「女性が性犯罪に遭わないようにするためには、スラット(尻軽女)のような服装を避けるべきだ」と指摘した。2月には、性暴行事件の裁判で「被害者の服装が加害者に誤った印象を与えた」として、被告に罰金刑が宣告された。すると、これに抗議したトロントの女性3000人余りが「尻軽女」のようなセクシーな服を身に着けてデモ行進を行い「好きな服装をする権利」を求めた。「尻軽女の行進(スラットウオーク)」と名付けられたこの行進は、欧米諸国やオーストラリア、インドにも広まっている。
夏に入り、ノースリーブやミニスカート、胸元が大きく開いたシャツなどを身に着けた女性社員のため、目のやり場に困る男性社員が増えている。かがむと腰の部分から下着が見えることもあるという。ある就職情報サイトのアンケートによると、男性社員の62%が「女性社員の過度な露出にきまりの悪い思いをする」と回答した。
性差別だとの反発を呼ぶことを懸念し、こうした服装に口を出せないまま、やきもきする会社も多い。だが、奔放な服装を認めてきた米国の企業も、超ミニスカートやタンクトップ、サンダル履きなど、度を越した服装は規制している。数年前、社員2000人以上の企業1400社を調査したところ、84%が過度な露出の禁止規定を設けていることが明らかになった。「個性」もよいが、プライベートと仕事はきっちり分け、オフィスでは仕事にふさわしい服装をするのが社会人の基本的なマナーだ。
呉太鎮(オ・テジン)首席論説委員