西日本唯一の日本ローラースポーツ連盟(東京都)公認リンク「伊丹市立ローラースケート場」で、利用者数が増加傾向にある。「安・近・短」のお出掛け先として人気があるほか、地道に続ける初心者教室も裾野の拡大に一役買っているようだ。人気タレントを輩出するジャニーズ事務所から今夏、ローラースケートも履く男性アイドルグループがデビュー予定といい、さらに“脚光”を浴びそうだ。(霍見真一郎)
市などによると、同スケート場は1982(昭和57)年、航空機の騒音から逃れて移転した運送会社の跡地を利用し、総工費4200万円で建設された。同連盟の公認リンクは、東日本には、東京都や千葉、長野県に8カ所あるが、西日本では伊丹にしかない。
伊丹は、現存する公認リンクで最も歴史があり、1周130メートルの周回コースには、全国で3カ所しかないというバンク(傾き)が付いている。高速でコーナリングできるため、スピードスケートのチームが練習することも多い。リンク中央ではホッケー大会も行われる。
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「なぜ伊丹にローラースケート場が」と疑問が浮かぶが、市は、建設当時ブームだったことも一因と説明する。
ローラースポーツ総合メーカー「シルバーフォックス」(東京都)の森居稔営業部長によると、82〜84年ごろ、アメリカで流行したローラーディスコが日本でも受けた。87〜88年ごろには、ローラースケートを履いたアイドルグループ「光GENJI」が登場。「多くて年数十万個だったローラースケートの国内販売数が、そのころ3年間で約570万個に跳ね上がった」という。
1990年ごろからは、スキーブーツのような靴に、カラフルなタイヤを一列につけた「インラインスケート」が人気になった。森居部長は「玩具からスポーツ用品と考えられるようになった」と振り返る。
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2002年度、伊丹のスケート場は開設以来3番目という最低入場者数を記録した。インラインブームが過ぎ去ったためだが、ローラー付きの子供靴や、インラインスケート靴の廉価版が出回るようになり、子どもが次第に戻ってきた。
「家族連れが多くなった」と、伊丹市ローラースケート協会の井沢俊夫理事長(61)。大人2時間300円、中学生以下150円という手ごろ感も手伝ったようだ。
7〜8月には「光GENJI」と同じジャニーズ事務所から、ローラースケートで滑るステージも披露する男性アイドルグループ「Kis‐My‐Ft2(キスマイフットツー)」が、CDデビューの予定。ブーム再興は、目前かもしれない。
(2011/06/20 09:30)
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