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藤井彰V撃&好リード!初お立ち台

 4回、二塁打で出塁した藤井彰はスタンリッジのバントで三塁に滑り込む(撮影・大山伸一郎)
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 4回、二塁打で出塁した藤井彰はスタンリッジのバントで三塁に滑り込む(撮影・大山伸一郎)

 「交流戦、阪神7‐0楽天」(19日、甲子園)

 終わりよければ、すべて良し!これまでの鬱憤(うっぷん)を今日は忘れよう。阪神・藤井彰人捕手(35)が2安打1打点と活躍。虎戦士となって初のお立ち台に上がった。城島の“代役”がけん引した勝利で、阪神は交流戦全日程を終了。10勝14敗で交流戦8位、3年連続負け越しとなったが、藤井彰が父の日に誓ったリーグ戦での巻き返し。全国のお父さんも、きっと信じたに違いない。

  ◇  ◇

 守った打った、そして走った。泥だらけのユニホームが、無数のフラッシュでキラリ光る。4万6901人の観衆が、ヒーローを呼んだ。「藤井コール」で聖地が揺れる。甲子園初のお立ち台。自宅で待つ愛娘に伝えた。パパ、頑張ったで‐。

 「きょう来てくれたお父さん、応援してくれたお父さん。おいしいビールを飲んでください!!」

 父の日と重なった交流戦ラストゲーム。観客は藤井彰のプレーに酔いしれた。まずは二回、1死一、三塁で打席が巡る。2球目、外角のスライダーを狙った。気持ちで振り切った打球は、しぶとく三遊間を抜ける。流れを呼ぶ先制打に、殊勲者は塁上で両手を叩いて喜んだ。四回には中堅左を襲う二塁打で出塁し、スタンリッジの送りバントで猛ダッシュ。激走で三塁を陥れると、鳥谷の右翼線二塁打で生還した。

 「パパ、頑張ってね」

 この日は日曜日。出掛ける前に愛娘・彩乃ちゃん(7)の激励を受けた。18日は自身35回目の誕生日。直筆の手紙を贈った娘は、寝ずに帰りを待っていた。「『何やってんねん!』って。2歳から試合を見てるから、全部分かるんです」。笑顔が見たかった。一番のファンに勝利を届けたかった。声援を力に変えて、パパは泥だらけになった。

 「泣きそうになったよ」。試合に、そして勝利に飢えていた。出場機会を求めてFA宣言。城島の負傷離脱で出番が巡った。8日のロッテ戦。スタメン出場5試合目でようやく勝った。試合後は必死に涙をこらえた。「残り少ない野球人生。イチかバチか、勝負したかった」。大勢の反対を押し切って決断した移籍。答えを出すのはまだ先だ。ただ惜しみなく降り注いだ万雷の拍手が、その答えなのかもしれない。

 本業の守備では、先発スタンリッジを巧みにリードした。序盤、直球が走ってないと判断すると、カットボールとスライダーで打者を幻惑。中盤からは直球主体で古巣打線をわずか4安打に封じた。6日のオリックス戦からチームは6勝2敗。「投手が頑張ってくれています」。決して誇らないが、3完封の数字が存在感を示す。

 「やっぱり気持ちいいですね」。初のお立ち台を終えたヒーローは、ベンチ裏で静かに余韻に浸った。ただ、それも一瞬。4日間の休息を挟んで、リーグ戦が再開する。「まだ借金がある。1つでも、2つでも上にいきたいです」。初戦の相手は宿敵巨人。FA捕手に立ち止まっている暇はない。

(2011年6月20日)

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