＜東日本大震災＞復興基本法が成立…ようやく体制整備

　東日本大震災からの復興に向けた国の基本理念や枠組みを定めた復興基本法が２０日の参院本会議で、民主、自民、公明３党などの賛成多数で可決、成立した。みんなの党と共産党は反対した。首相を本部長とする復興対策本部を置き、新たに任命する「復興担当相」を副本部長に充てるのが柱。復興担当相は、菅直人首相や玄葉光一郎国家戦略担当相が兼務する案が浮上している。政府は復興計画の企画立案から実施までの権限を担う「復興庁」や復興特区の早期設置に向け、関連法案の準備に入る。

　基本法の成立により、３月１１日の大震災発生から３カ月以上を経て、ようやく政府の復興体制が整った。９５年の阪神大震災時、復興基本法は１カ月余りで成立しており、取り組みの遅れが目立つ。枝野幸男官房長官は２０日の記者会見で、復興担当相の任命時期について「関連政省令などの手続きに数日かかる。できるだけ早く法に基づく作業に入りたい」と述べた。

　基本法は理念として「２１世紀半ばの日本のあるべき姿を目指す」と宣言した。全閣僚が参加する復興対策本部を復興庁に早期に移行するほか、（１）復興財源を確保する復興債を発行し、償還の道筋を明らかにする（２）被災地の創意工夫による復興の取り組みを支援する復興特区の法制化−−などを明記。被災地の岩手、宮城、福島３県にそれぞれ現地対策本部を設ける。

　基本法を巡っては、自民、公明両党が復興庁への実施権限の付与や復興債の活用などを明記するよう要望。政府・民主党が当初の政府案を修正した。ただし、自民党の岩城光英氏は参院本会議の賛成討論で、「退陣間近の菅首相の下で復興ビジョンを描くのは無理だ」と述べ、改めて首相に早期退陣を求めた。【松尾良、高本耕太】

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