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クラスター爆弾:在日米軍「温存」協議 米外交公電を公表

 【ワシントン古本陽荘】不発弾被害が深刻なクラスター爆弾について、日本政府が禁止条約締結後も、在日米軍のクラスター爆弾を「温存」させるため、国会対応や世論対策について米政府と協議していたことが、内部告発サイト「ウィキリークス」が15日公表した米外交公電で明らかになった。

 表向きはクラスター爆弾の使用に反対しながらも、実際には米軍のクラスター爆弾に頼ろうとしていた日本政府の二面性が浮き彫りになった。

 ウィキリークスが公表した08年11月11日付公電によると、同年10月7日、東京で開かれた外務・防衛当局による協議で、日本が同年5月に表明した「クラスター爆弾禁止」後の対応を協議。日本側は、「在日米軍が所有するクラスター爆弾についても国会議員から保有に疑念の声が上がる可能性がある」と説明。そのうえで、「防衛省、外務省とも米軍にクラスター爆弾廃棄を求めるような事態は避けたい。情報を交換し、国会対応や世論の圧力に対処するための方策を検討したい」と協力を要請した。

 この際、防衛省は、「国会対応のため日本は人道目的で廃棄することを公言するが、欠けた能力については米軍に頼る」とのシナリオを提示したという。

 これに対し、米側は「クラスター爆弾の代替兵器はなく、日本は(担うべき)役割、任務の一部を放棄することに等しい」と懸念を表明した。

 一方、同じ公電は核政策についても報告。少人数の別の会合で、日本側が北朝鮮の核開発を念頭に、間もなく誕生するオバマ政権が、日本への「核の傘」(拡大抑止)政策を変更するのではないかとの懸念があることを伝達。「日本国内で核保有の議論が起きている」と警告したという。

毎日新聞 2011年6月16日 11時44分

 

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