(cache) 時代劇をいろどる殺陣(たて) - これまでの放送:ディープピープル[DEEP PEOPLE]

放送内容

時代劇をいろどる殺陣(たて)
<総合テレビ>6月20日(月)

時代劇に欠かせないアクションシーン「殺陣」。激しい立ち回りを作り上げるのは、殺陣師・演じる役者・斬られ役、様々な技術を持った熟練の強者たちのコンビネーションである。真剣を持った人間が命のやりとりをするリアルなアクション。悪人をバッサリ斬り倒す爽快感を感じさせる華麗な「チャンバラ」。現代のサムライを演出する殺陣師と役者が時代劇の聖地・京都で激突する。

林邦史朗×清家三彦×松方弘樹

林邦史朗林邦史朗
殺陣師 1965年の「太閤記」以来、NHK大河ドラマの殺陣の多くを監修。真剣を持った人間が本当に戦うとどうなるかをめざし、示現流、新陰流など実際の武術の研究を通じて、リアルな殺陣を目指している。現在はもちろん「江」に参加中。来年の「平清盛」も担当する。
清家三彦清家三彦
殺陣師。明朗快活な東映時代劇の流れをくみ、歌舞伎や踊りをベースにした美しい動きで、明るく楽しい「チャンバラ」を目指している。映画「魔界転生」「男たちのYAMATO」やTV「水戸黄門」「将軍家光忍び旅」など。時代劇の聖地、京都太秦で活動中。
松方弘樹松方弘樹
俳優 現役屈指の殺陣の名手として知られるベテラン。最近でも「TAJOMARU」「十三人の刺客」などで、若手とは一味違う豪快な刀裁きを披露している。父は、かつて日本一とも言われた剣劇スター近衛十四郎。時代劇復活への思いも強い。今回は、演じる側からみた、殺陣論を語る。
「殺陣ができますって役者さんに限ってほとんどダメ」林邦史朗
小菅一弘 トークは、刀を当てない振り方について始まった。時代劇で使う刀は木でできた「竹光」。それでも身体に当たると大変なケガにつながることもある。殺陣師がまず気をつかうのは安全。刀の先が人の方を向かないような振り方を役者に教えていく。また刀同士が当たると、刀身がへこみ、アップで写せなくなる。下手な役者ほど力が入って、刀を当ててしまうという。
熟練が必要な刀裁き。特にそれぞれのこだわりがあるのが、決めポーズとなる「残心」。林は倒した相手が再び斬りかかってきたときにとどめを刺せる構えを意識し、松方は、動きの中に一瞬「静」のポーズを取り入れ、つぎのうごきにつないでいくリズム感を大切にしている。
「僕はチャンバラって言う言葉が好き」清家三彦
高西淳夫 様々な武術の修行を通じてリアルな殺陣を目指してきた林と、舞踊的な要素をベースに、上手なウソを織り交ぜたチャンバラを目指す清家。それぞれの現場の様子見ながら、トークは続く。大河ドラマという舞台で様々な流派の型をみせる必要から、林は「あらゆる流派」を学んできたという。それでも、流派の先生には殺陣はつけられない。剣道の達人が殺陣がうまいとも限らない。なぜなら「殺陣はお芝居だから」。
一方、清家は現実にはあり得ない殺陣をつけることもある。役者の表現力とタイミングがぴたりとあったとき、あり得ない動きが本当らしく見える。それが「チャンバラの魅力」なのだ。
「殺陣はオーケストラなんですよ」松方弘樹
石黒 浩 東映京都撮影所で活躍する「東映剣会」の面々があらわれて、この場で三者それぞれ即興出たてをつけることになる。「今回はあえてリアルさ抜きで外連重視」の清家。「武術の要素を取り入れた」林。「静と動の対比を意識する」松方。それぞれの殺陣を鑑賞する。斬られ役を務めた剣会のメンバーも交えて、トークは斬られ役とのコンビネーションについて展開した。松方は「13人の刺客」では、ほとんどがエキストラという状況の中、殺陣を成立させる苦労を語る。現在では望むべくも無いが、全盛期の東映には100人を超える斬られ役がいたという。主役と斬られ役、それぞれが呼吸を読み合あい、一瞬の間を外さずに作り上げる。チームワークが生み出す、アンサンブル。それが殺陣なのだ。
これまでの放送一覧へ