【名護】元ひめゆり学徒隊の北城良子さん(84)=名護市宮里=が沖縄戦の体験をつづった手記「六月がくるたびに」が紙芝居になり、教育現場で活用されている。
名護市教育委員会文化課市史編さん係が制作した。北城さんは将来を担う子どもたちに「戦争をするのも、平和をつくるのも人間。平和のとりでになってほしい」と呼び掛ける。
北城さんは17歳のころ、沖縄戦に動員され、南風原陸軍病院壕で負傷兵を看護。その後、南部に逃れる途中、多くの友人を失い、自身も米兵の手りゅう弾の破片が当たり左足を負傷した。
戦後、小学校の教員となり、1982年には体験を手記にまとめ、当時勤務していた大宮小学校の児童に語り聞かせた。紙芝居は、手記を基に制作。作画は市史聞き取り調査員の仲地静香さんが担当した。19日に屋部中学校であった平和学習で、データ化された紙芝居が上映され、市内の読み聞かせサークルが、思いを込めて文章を読み上げた。
市史編さん係の大嶺真人さんは「民話は紙芝居にしてきたが、戦争体験は初めて。沖縄戦の体験者が年々減る中、平和学習の素材の一つとして活用していきたい」と意義を強調した。