宮城のニュース

放射線 小学校ピリピリ 運動会中止や給食の産地表示

校内の放射線量を測る教諭=仙台市若林区の聖ウルスラ学院

 仙台市内の小学校が、福島第1原発事故で拡散した放射性物質への対策に苦慮している。子どもの被ばくを恐れる保護者に配慮し、運動会やプール授業を中止するなど、学校生活に影響が広がる。福島第1原発から約100キロ離れ、大気中の放射線量に「問題がない」とされる仙台でも、不安にとらわれる保護者は少なくない。

 市教委は今月上旬、保護者グループの要望を受け、各校にプールの使用を見合わせるよう通知した。新たに水質検査をし、結果が判明するまでの約2週間、プールに歓声が響くことはなかった。
 給食で提供される食べ物や牛乳による内部被ばくを心配する家庭に対しては、特例で水筒や弁当の持参も認めている。
 市健康教育課は「食品衛生法の暫定規制値を下回る安全な食材を使っているが、納得してもらえなければやむを得ない」と経緯を説明する。
 目に見えない放射線への対応は、私立学校でより顕著だ。泉区の仙台白百合学園小は、新年度開始と同時に屋外での体育授業はせず、5月の運動会を9月に延期。5、6年生が毎年行う田植えの体験学習も中止した。
 市は今月8日から、市立小中学校、保育所などで大気中の放射線量の測定を開始した。国際放射線防護委員会が示す基準に照らし、全域的に「健康に影響がないレベル」と公表してきた。
 仙台白百合学園小の渡辺瑞穂副校長は「数値を信用しないわけではないが、基準そのものに対してさまざまな意見があるのも事実。保護者の安心のため、より慎重な対応を取る」と話す。
 若林区の聖ウルスラ学院英智小・中は、5月上旬から毎週、校内の芝生で放射線量を測定し、ホームページに載せている。給食では月々の献立表に青果物の産地リストを添付する仕組みにした。
 青葉区の聖ドミニコ学院小は、5月下旬に予定していたグラウンドでの運動会を屋内の球技大会に振り替えた。東北大の准教授を招いて保護者向けの説明会も開き、放射線に関する知識の共有を図った。
 学校側が対応に腐心する中で、県外への疎開や移住を検討する保護者も増えつつある。
 小学校に通う2人の子らと、実家のある岩手県に引っ越すことを決めた太白区の女性(42)は「学校行事を休ませたり弁当を持たせたりしたが、健康不安は消えない。より遠い場所への移住も考えている」と語る。
 別の母親は、「周囲に理由を言わずに、転出していく親子もいる」と話す。


2011年06月19日日曜日


Ads by Google

関連記事

powered by weblio



△先頭に戻る

新着情報
»一覧
特集
»一覧
  • 47NEWS