財務省が20日発表した5月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出は4兆7608億円となり、前年同月比10.3%減少した。4月(12.4%減)より落ち込み幅は縮小したが、東日本大震災の影響で自動車や半導体などの低迷が続いている。火力発電用の燃料の輸入増もあり、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は8537億円の赤字と、過去2番目の赤字を記録した。
輸出の減少は3カ月連続。震災によるサプライチェーン(供給網)の寸断で減産に追い込まれた自動車は38.9%減。米国向けの大型車や中国向けの中型車などが減少した。自動車部品も18.5%減り、自動車と同部品で輸出全体の減少の半分以上を占めた。
半導体など電子部品も18.5%減。パソコンなどに使う半導体メモリーのDRAMがシンガポール向けを中心に落ち込んだほか、台湾向け集積回路が減少した。
地域別では米国向けが14.6%減少。欧州連合(EU)向けも8.8%、アジア向けも8.7%それぞれ減った。
| 輸出額 | 輸入額 | 貿易収支 | |
|---|---|---|---|
| 総額 | 47,608 (▲10.3) | 56,145 (12.3) | ▲8,537 (-) |
| 米国 | 6,453 (▲14.6) | 5,414 (4.2) | 1,039 (▲56.0) |
| EU | 5,616 (▲8.8) | 5,326 (8.9) | 290 (▲77.1) |
| アジア | 27,587 (▲8.7) | 24,500 (8.7) | 3,086 (▲59.8) |
| 中国 | 9,382 (▲8.1) | 11,529 (6.6) | ▲2,147 (-) |
供給網の復旧前倒しで生産は最悪期を脱しつつある。これを受け、5月の輸出は季節調整済みの前月比では2.5%増と3カ月ぶりに増加に転じた。先行きは夏の電力制約や海外経済の減速などリスクもあるが、「供給網が想定通りに復旧すれば、輸出は10~12月期に震災前の水準に回復する」(農林中金総合研究所の南武志主任研究員)との見方もある。
一方、輸入は5兆6145億円で、前年同月比12.3%増加した。増加は17カ月連続。原子力発電所の事故を受けて火力発電へのシフトが進んだ結果、石油など化石燃料の需要が増加。原粗油は30.7%、液化天然ガス(LNG)は33.0%それぞれ増えた。原油相場などの上昇に加え、数量面での増加も輸入金額を押し上げた。
輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、リーマン・ショックを受けて世界的に需要が落ち込んだ2009年1月(9679億円)以来の赤字幅となった。貿易収支の2カ月連続の赤字は、08年10月~09年1月の4カ月連続以来となる。
自動車、貿易統計
| 日経平均(円) | 9,379.49 | +28.09 | 20日 12:45 |
|---|---|---|---|
| NYダウ(ドル) | 12,004.36 | +42.84 | 17日 16:30 |
| 英FTSE100 | 5,714.94 | +16.13 | 17日 16:35 |
| ドル/円 | 80.15 - .18 | -0.33円高 | 20日 12:23 |
| ユーロ/円 | 114.36 - .40 | +0.58円安 | 20日 12:24 |
| 長期金利(%) | 1.115 | ±0.000 | 20日 11:03 |
| NY原油(ドル) | 93.01 | -1.94 | 17日 終値 |
使用率:78.8%3607/4580万kW
予想最大電力:3640万kW14時~15時
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