七ケ宿町の町営柏木山放牧場の牧草から国の暫定許容値(1キロ当たり300ベクレル)の5倍を超える放射性セシウムが検出された問題で、同町は26日、町開発センターで畜産農家を対象にした説明会を開いた。牧草から1770ベクレルの放射性セシウムが検出されたことを県が25日に発表した。
説明会には、町内の畜産農家約20人や畜産業の関係者が出席。県の担当者が「6月上旬に損害を取りまとめるため農畜産物損害賠償対策県協議会が設立される」と説明した。
県は既に畜産農家に放牧や牧草の使用自粛を呼び掛けている。この日の説明会では、畜産農家からは「早急な損害賠償と簡単な融資制度の確立を求めたい」「土壌検査も実施してほしい」--など切実な声が相次いだ。
一方、町の担当者は「町内の野菜、山菜、原乳、飲料水は全て基準値以下で問題はなく、安全。風評被害が一番怖い」と話した。
町営柏木山放牧場は、南蔵王・不忘山麓(さんろく)の標高530メートルにあり、面積は30ヘクタール。東京電力福島第1原発からは約85キロ離れている。県の自粛要請を受け、既に乳用牛と肥育牛は放牧しておらず、対象外となった育成・繁殖牛の計約30頭が放牧されている。【豊田英夫】
毎日新聞 2011年5月27日 地方版