- [PR]
[事件]ニュース トピック:主張
【主張】震災孤児 皆で見守り夢を支えよう
東日本大震災で両親を失った18歳未満の震災孤児は岩手、宮城、福島の3県で200人を超えている。阪神・淡路大震災の約3倍にもあたる深刻な数だ。
両親のどちらかを亡くした子供も含めると孤児、遺児は1300人以上ともいわれる。将来の進学などを含め、長期の支援策を講じねばならない。
震災の発生が昼だったことから、多くの子供たちは学校にいて親と離れていた。孤児の発生は当初から心配されており、厚生労働省も避難所に児童福祉司ら専門家を派遣するなど調査や支援を始めた。しかし、全体の状況はまだ把握し切れていない。
孤児たちは祖父母やおじ、おばなど親族に引き取られる例がほとんどだという。しかし祖父母の多くは高齢で、厳しい避難生活を強いられる子供たちもいる。
5歳の少女が、行方不明のままの母親に「いきてるといいね、おげんきですか」と手紙を書くなど、慰めの言葉も見つからない。「心配かけたくない」と人前では涙を見せず、健気(けなげ)に避難所の仕事を手伝う子供もいる。
当面の生活支援や心のケアはもちろんだが、高校や大学への進学など万一にも経済的な理由で希望を断念することのないよう、息の長い支援策を考えたい。
国の支援制度は里親制度を利用して孤児を引き取る場合、生活費や教育費が支給される。親族の場合も「親族里親制度」で助成される。制度を知らない人もおり、分かりやすい周知が必要だ。
自治体独自で支援していく動きもある。岩手県は、成人するまでの就学資金などを給付する基金を創設する。福島県相馬市は、支援金を支給する条例をつくった。津波から市民を避難させる途中に殉職した消防団員に、子供を持つ人が多かったことがきっかけだ。
民間で支え合う輪も欠かせない。親を亡くした子供たちを支援している「あしなが育英会」は助成のほか、東北に拠点を設け心のケアなど支援を続ける。
3歳のとき、阪神大震災で親を失った大学生は「会の支援のおかげで仲間に出会い、夢も見つけることができた」といい、今回の震災で支援活動に協力している。
震災孤児の特別編入枠を設けた高校もある。大学などの奨学金拡充も有効だ。さまざまな手厚い支援で子供たちの夢を支えたい。
- [PR]
- [PR]