2011年6月15日0時52分
中部電力は14日、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)で炉心が損傷する「過酷事故」が起きた場合の対策を新たにまとめ、経済産業省の原子力安全・保安院に提出した。東京電力福島第一原発の事故を受けた緊急安全対策の一環で、水素爆発対策などを盛り込んだ。
福島第一原発の事故では、津波ですべての電源が失われて炉心を冷やせなくなり、大量の水素が原子炉建屋内にたまって爆発につながった。
このため、浜岡原発の新たな対策では、水素の漏れ出しに備えて、建屋の屋上に60センチ四方の穴を2カ所開け、漏れ出した水素を外部に放出することにした。水素には放射性物質が混じっているが、爆発によって広い範囲に飛び散るよりは、影響が抑えられるという。
中期的には常設の排気装置や水素の検知器を設置する計画だが、完成するのは来年夏ごろになる。
それまでの間の応急措置として、事故時に作業員5人が電気ドリルやカッターを使って約2時間で穴を開ける態勢をとる。穴開け作業は、非常用の冷却装置が作動中で水素が発生する前に完了させるという。7月末までに1〜5号機分の工具を配備する。
このほか、過酷事故で作業員が放射線量の高い場所に立ち入る際に着用するタングステン製の防護服10着を購入。中央制御室に放射性物質が入り込むのを防ぐ空調設備用の発電機も導入する。
また、津波や爆発で敷地内に散らばるがれきを取り除くため、重機を配備した。電源を失った場合の連絡手段には、乾電池式のトランシーバーや衛星携帯電話機を使う。
保安院は今後、立ち入り検査などをして、中部電の対策を評価する。