福島第1原発:1号機で「水棺」化へ向けた作業を開始

2011年4月26日 19時14分

 東京電力は26日、福島第1原発1号機の格納容器を水で満たして燃料を冷やす「水棺」の着手に向けた作業に入った。同日はロボットで、格納容器に破損がないかを点検。27日には試験的に原子炉への注水量を倍に増やし、格納容器の損傷具合を確認する。一方、4号機のタービン建屋地下にたまった水の放射性物質濃度が、1カ月で最大約250倍に上昇していることが判明。事故収束に向け、新たな課題が浮上した。

 1号機は燃料棒の約7割が損傷したとされる。東電は3カ月以内に1号機で「水棺」を実施する計画を、事故収束に向けた工程表に盛り込んでいる。

 26日は、原子炉建屋1階に米国製ロボット2台を投入。撮影した映像の分析に基づき「格納容器からの目立った水漏れは確認されなかった」とした。建屋内の線量は前回17日の調査時(毎時10~49ミリシーベルト)と変わっていないという。

 27日以降、一時的に原子炉への注水量を従来の約2・3倍に当たる毎時14立方メートルに増やし、圧力や水位の変化から、水棺が可能か見極める最終判断をする予定だ。

 格納容器内には現在、原子炉圧力容器に注いだ冷却水が漏れるなどして、すでに約6メートルの水がたまっているとみられる。水を満たす作業が順調に進んだとしても、その水を冷却するシステムの構築ははこれからで、格納容器を守る建屋の耐震性も今後の課題だ。

 また東電は25日夜、4号機タービン建屋地下の汚染水の放射性物質濃度を明らかにした。21日に調べたもので、セシウム137が1立方センチ当たり8100ベクレル、セシウム134が7800ベクレル検出され、いずれも前回調査(3月24日)の約250倍に上昇していた。半減期が約8日と短いヨウ素131は、12倍の4300ベクレルだった。

 3、4号機のタービン建屋は、共通の電源盤などがある「電気品室」を通じてつながっている。東電は、3号機の原子炉を冷やすために注いでいる水が4号機側に流れ込んでいると見ている。水深は26日午前7時現在1.15メートルで、この2週間で25センチ上昇している。

 タービン建屋と周辺の汚染水は1~3号機に計約6万7500トンがあり、一部は保管場所への移送が始まっているが、すべてを回収できるめどは立っていない。東電は「建屋外への漏出は見られないが、移送先を早く確保する必要がある」としている。【八田浩輔】

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
Check
この記事を印刷

PR情報

スポンサーサイト検索

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド