2011年4月26日 12時12分 更新:4月26日 15時31分
東京電力の清水正孝社長が、東日本大震災が発生した3月11日夜、出張先の関西から東京に戻る途中、いったん航空自衛隊小牧基地(愛知県)をC130輸送機に乗って離陸しながら、北沢俊美防衛相の指示を受けてUターンしていたことが26日分かった。清水社長の自衛隊機搭乗は経済産業省からの依頼とみられるが、北沢氏は正式要請はなかったとしている。また、北沢氏の許可なく輸送機は離陸しており、自衛隊の判断に疑問も出ている。
防衛省によると、11日午後9時40分ごろ、首相官邸の緊急参集チームに詰めていた同省の桜井修一運用企画局長から「清水社長を航空自衛隊の輸送機で東京に運べないか」と要請があった。これを受ける形で、清水社長は午後11時半ごろ、空自小牧基地からC130輸送機に乗り、入間基地(埼玉県)に向けて離陸した。
ほぼ同じころ、要請の事実を伝えられた北沢氏は「被災地への救援活動を最優先にすべきだ」と指示。これを受け同省は午後11時46分に輸送協力に応じないよう伝えたが、すでに離陸しており、急きょ引き返したという。同機は12日午前0時13分に小牧基地に着陸。その後、災害派遣の医療チームの運搬活動にあたった。
北沢氏は26日の閣議後会見で「連絡の行き違いがあったとは聞いている。しかし、新幹線が動き、高速道路が閉鎖されていない中、対応する道があったのではないか。正式な官庁間協力の要請はなかった」と述べた。
これに関連し枝野幸男官房長官は26日午前の記者会見で「防衛相の指示は妥当だった。自衛隊も、大臣の決裁を受けずに飛行機がいったん飛び立ったのは不思議だ」と述べ、自衛隊の行動に疑問を呈した。【坂口裕彦】