2011年4月25日 19時34分 更新:4月25日 21時3分
東京電力は25日、勝俣恒久会長や清水正孝社長ら常務以上の役員報酬の半減や一般職員の年収約20%カットを柱とする人件費削減策を発表した。さらに当初は1100人を予定していた12年度の新卒採用も見送る。
福島第1原発事故や計画停電で社会的な混乱を引き起こした上、事故で巨額の損害賠償負担が生じるのは必至。損害賠償では国の支援も不可避と見られ、東電には徹底したリストラの実行が厳しく求められている。
役員報酬は、取締役が会長から常務まで50%減、執行役員は40%減。3人いる社外取締役と十数人の顧問も報酬削減の対象とするが、減額幅は明らかにしていない。原発事故の収束が見通せていないことを踏まえ、減額する期間は定めていない。
一方、役員以外では管理職の年俸を約25%減額。一般職の年収20%削減についても、25日、労働組合側の同意を得た。削減対象は取締役が社外も含めて20人、執行役員29人、社員は管理職、組合員を含めて約3万7000人にのぼる。東電によると、これらの報酬カットで年間の人件費(4800億円)の1割以上に当たる540億円を圧縮できるとしている。
同時に12年度は新卒採用を取りやめる。東電はすでに1100人の採用を前提に、大学生向けなどにエントリーシートの募集を始めていたが、原発事故で「事業環境が大きく変わった」として採用を見送ることを決めた。次年度以降も新卒採用を抑制する。
東電は新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が全基停止したのを受け、07年11月から取締役の役員報酬を20%、執行役員を10%削減している。今回の原発事故に伴う役員報酬カットは、07年11月の削減前の「標準報酬額」をベースにする。東電の10年3月期の有価証券報告書によると、役員報酬は社外取締役を除く19人に対し計6億9800万円で、1人当たり平均額は約3700万円となっている。【山本明彦】