2011年4月24日 22時33分 更新:4月24日 23時22分
【カイロ伊藤智永】反政府デモが続くイエメンで、中東の衛星放送アルアラビーヤによると、ジャナディ副情報相は23日、記者会見で「サレハ大統領は湾岸協力会議(GCC、サウジアラビアなど6カ国)が提示した1カ月以内の早期退陣案を受け入れる」と述べた。サレハ氏の国民全体会議(GPC)など連立与党もGCC側に全面受け入れを伝えた。
ロイター通信などによると、野党連合も受け入れの構え。しかし、調停案はサレハ氏の訴追免除や身の安全を保障しており、本人でなく周辺が「早期辞任」を発信する間は、死者130人以上を出した反政府デモが収まるかどうかは予断を許さない。24日も首都サヌアで数千人のデモがあった。
調停案は、1カ月以内に副大統領に権限を移譲し退陣▽野党参加の挙国一致政府を作り、2カ月以内に大統領選を実施▽サレハ氏や家族らの訴追免除--などが柱。
野党連合は、政権に参加しないなどの留保、条件付きで受け入れる立場だが、反政府デモが続く限り、サレハ氏の訴追免除が容易に受け入れられる情勢ではない。野党側が民衆デモをどこまで指導できるかもカギだ。
サレハ氏は終身大統領制に道を開く憲法改正や息子への権力移譲を目指したが、デモの高まりで13年の任期末での退陣を宣言。さらに年内辞任も表明したが、デモは収まらなかった。