東日本大震災:財源論議、当面せず…復興会議

2011年4月23日 20時53分 更新:4月24日 0時6分

東日本大震災復興構想会議に臨む(左から)佐藤雄平福島県知事と達増拓也岩手県知事=首相官邸で2011年4月23日午後3時3分、塩入正夫撮影
東日本大震災復興構想会議に臨む(左から)佐藤雄平福島県知事と達増拓也岩手県知事=首相官邸で2011年4月23日午後3時3分、塩入正夫撮影

 東日本大震災からの復興ビジョンを策定する政府の「復興構想会議」(議長・五百旗頭真防衛大学校長)は23日、首相官邸で2回目の会合を開いた。達増拓也岩手県知事、村井嘉浩宮城県知事、佐藤雄平福島県知事がそれぞれ被災地の現状などを報告。村井知事は、消費税を増税して復旧・復興にあてる「災害対策税」の創設を求めたが、達増知事が反対を表明し、財源論議は尚早だとの意見が相次いだ。初回の14日に五百旗頭議長が提案した「震災復興税」を含め、増税問題は当面議論の中心にしないことを確認。財源問題はいったん棚上げされた。

 村井知事は復興計画として3年に限って国が漁船購入や水産施設を整備する「国有化」構想を提案。ほかに(1)地盤沈下した農地を国が買い取り、緑地・公園化する(2)民間投資による農業ビジネスの活性化(3)漁港を3分の1から5分の1に集約再編--などを提唱。被災3県や市町村、国が復興案を調整する「大震災復興広域機構」設置も求めた。

 達増知事も、水産業への国の支援などを要請。さらに「復興への象徴になる」として平泉の世界遺産登録を目指すことや、電子と陽電子を衝突させて宇宙誕生の解明を目指す超大型加速器「国際リニアコライダー」の誘致などについて国への協力を求めた。

 一方、原発事故が進行中の佐藤知事は、原発について国や地方自治体が協議する「原子力災害に絞った協議の場」や現行法で想定できない賠償に対応するための特別法の制定などを要求。復興に向けた提言はほとんどなかった。

 復興財源については、村井知事が「災害対策税」を提案したのに対し、達増知事は「被災地の消費を低迷させてはならない」と増税に反対論を示した。これに同調する意見が相次ぎ、会合後に記者会見した五百旗頭議長は「今はそれを主たるテーマにまだしない、というのが今日の議論だった」と述べ、当面は議論の中心から外す方針を明らかにした。

 次回30日の会合では、阪神大震災の際に官房副長官を務めていた石原信雄氏、兵庫県知事だった貝原俊民氏から意見を聴取する。5月の連休中に被災地の視察を行ったうえで同月中旬には論点整理を行い、6月末までに第1次提言をまとめる予定だ。【小山由宇】

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