福島第一原発事故による放射線量の測定は県内一か所(市原市)であることや千葉県北西部地域が相対的に高い数値であることを基にネット上に不安を煽るような書き込みがされていることから、市民の健康と安全・安心な生活環境の確保のため、5月17日に千葉県知事宛に近隣6市長連名の要望書を提出しました。
大気中の放射線の調査・測定について、以下の理由から現在は柏市単独での測定は行っておりませんが、今後の千葉県の動向を確認しながら、柏市での対策を検討していきます。
- 東京大学・国立がん研究センターにおいて、定期的、継続的調査が実施されており、この測定結果に対し「少々高めの線量率だが、人体に影響を与えるレベルではなく、健康に問題はありません」とのコメントが出されています。
- 調査、測定、評価には各県の研究機関において、専門機器に熟練した技術職員が必要となるため、市では対応ができません。
- 東京大学・国立がん研究センターの調査結果が柏市を代表する値と考え、この増減を注視し、変化に応じた速やかな対応をはかります。
東京大学柏キャンパスと国立がんセンター東病院の測定について
新聞等で見られる千葉県(市原)の数字に比べて、東京大学柏の葉キャンパスや国立がんセンター東病院で独自に測っている数値が高いが問題ないのでしょうか?
東京大学柏の葉キャンパスや国立がんセンター東病院での数値が高いのは事実ですが、現状の水準では健康には、子どもも含めて全く問題ないと、東京大学、国立がんセンターからコメントをもらっています。
また、市としましても、放射線に関する専門家のコメントなどを読む限り、健康に問題はないと認識してます。
上記2箇所の数値が高い要因として、測定方法や測定場所によって数値が変わることがあげられます。
東京大学では、柏キャンパスの測定地点付近の天然石や地質などの影響で、平時でも放射線量率が若干高めとなっていることに加えて、福島の原子力発電所に関連した放射性物質が気流に乗って運ばれ、雨などで地面に沈着したことによるとのことです。また、測定点の高さの違いも要因のひとつと考えているとのことです。東京大学や国立がん研究センターについては、県内で測定されている市原市内の測定点より低い地上付近で測定されており、地面に近ければ近いほど地面の影響を受けるので、その影響があるとみられます。
このような理由により、文部科学省などが公表している近郊の放射線量率に比べて高めの放射線量率ではありますが、両機関の専門家の意見としても、人体に影響を与えるレベルではなく、健康にはなんら問題はなく、特段の対策は必要ないと見解を示しており、柏市も同じ認識をしています。
参考
東京大学での環境放射線情報に関するQ&A
本郷や駒場と比較すると、柏の値が高いように見えますが、なぜですか?
測定点近傍にある天然石や地質などの影響で、平時でも放射線量率が若干高めになっているところがあります。現在、私たちが公表している柏のデータ(東大柏キャンパス内に設けられた測定点です)は、確かに、他に比べて少々高めの線量の傾向を示しています。これは平時の線量が若干高めであることと、加えて、福島の原子力発電所に関連した放射性物質が気流に乗って運ばれ、雨などで地面に沈着したこと、のふたつが主たる原因であると考えています。気流等で運ばれてきた物質がどの場所に多く存在するか、沈着したかは、気流や雨の状況、周辺の建物の状況や地形などで決まります。結論としては、少々高めの線量率であることは事実ですが、人体に影響を与えるレベルではなく、健康にはなんら問題はないと考えています。
過去のデータにつきましては、東京大学のホームページからご覧ください。
公表されている線量率には平時の値(バックグランド)が含まれていますか?
はい。平時の値(バックグランド)を含んだ線量率(暫定値)のまま掲載しています。
測定をしている場所はどこですか?
公表しているデータは、すべて東京大学のキャンパス敷地内に設けられた測定点のものです。本郷と柏のデータとして、複数点のデータを公表させていただいています。その趣旨は、同じ敷地内でも、測定時間、測定器の設置場所、気象などの環境条件によって、値にある程度のバラツキがあることをご理解いただきたい点にあります。
| 測定高さ | 地面の様子 | |
|---|---|---|
| 本郷(1) | 地上1メートル |
土壌(近くにコンクリート・敷石あり) |
| 本郷(2) | 6階相当 | コンクリート・敷石 |
| 本郷(3) | 地上1メートル | コンクリート・敷石(近くに土壌あり) |
| 駒場 | 3階相当 | コンクリート・敷石 |
| 柏(1) | 地上1メートル | コンクリート・敷石 |
| 柏(2) | 地上1メートル | 土壌(近くにコンクリート・敷石あり) |
測定器の種類はなんですか?
NaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータを使用しています。
東京大学にも放射線関係施設があると思いますが、地震の影響はありませんでしたか?
震度4以上の地震が観測されたときには、施設ごとに決められた方法で、施設の点検が行われます。今回、大きな地震のあとも群発的な余震が続いていますが、東大が所管するすべての放射線施設に関して、放射線や放射性物質の漏えいはなく、施設の状況に応じた適切な状態での管理が継続されています。今後も各施設の放射線管理担当者が日常的な管理に加え、地震のたびに点検を継続します。
≪東京大学環境放射線対策プロジェクト≫
関連ページ
国立がん研究センター
問い合わせ:国立がん研究センター 電話:03-3542-2511
千葉県内の放射線量率
問い合わせ:千葉県環境生活部大気保全課大気・特殊公害指導室 電話:043-223-3857
近隣都県の放射線量率
問い合わせ:茨城県生活環境部原子力安全対策課 電話:029-301-2922
問い合わせ:埼玉県保健医療部保健医療政策課 電話:048-830-3230
問い合わせ:東京都健康安全研究センター 電話:03-3363-3231
茨城県つくば市の「独立行政法人産業技術総合研究所つくばセンター」での放射線量について
国の情報
都道府県別環境放射能水準調査結果など(文部科学省ホームページ:東北地方太平洋沖地震関連情報)
全国大学等の協力による空間放射線量(文部科学省ホームページ:東北地方太平洋沖地震関連情報)