自動車は普遍的に事故を起こし続けます。日本だけでも年間約5000人の命が失われ、多数の負傷者が出続けています。[・・・]しかし、私たちは自動車や飛行機を放棄しません。それは、リスクの存在を前提として、そのリスクよりも利便性のほうが上回るという認識を共有しているからです。しかし、原発のリスクはそれらをはるかに上回ります。一旦事故が起こると(事故の規模にもよりますが)、相当程度の国土が汚染され・・・
では「利便性」のほうはどうだろうか。WHO(世界保健機関)の統計によれば、次の図のように原子力は世界のエネルギーの5.9%を供給している。TWh(1兆ワット時)あたりの死者は、石炭火力の161人に対して原子力は0.04人である(ほとんどがチェルノブイリ事故の死者)。石炭や石油の死者は、主として採掘事故によるものだ。少なくとも人命を基準にするかぎり、原子力は石油火力はもちろん、バイオ燃料より安全なのだ。
だからオバマ大統領のいうように、原子力はクリーンなエネルギーである。それが危険にみえるのは、マスコミが原発事故が珍しいので大きく報道するからにすぎない。このようなバイアスは、メディアが多くの読者を引きつけるためには当然だ。プロスペクト理論の教えるように、人々は絶対値ではなく変化率に反応するからである。
しかしリスク評価に必要なのは絶対値である。発癌性で考えても、タバコを1日1~9本吸い続けることによる生涯のリスクは、3.4シーベルト。原発作業員の被曝限度の14倍である。あなたが原発を恐れるなら、まずタバコをやめたほうがいい。
追記:ごくまれに大事故の起こる不確実性については、被害の最大値を最小化するMin-Max原理が使われることもあるが、これで考えても最大2人しか死んでいない日本の原子力は、バス事故で数十人が死ぬ自動車より安全である。
追記2:リンク先の統計はWHOだった。訂正した。
コメント一覧
過去の歴史、事故的にどれだけ危険なのか、ちょっとまとめてみました。特に下から5段目以降が私の主張の中心です。
お読み頂けると有難いです。
http://bit.ly/fZz141
PS 今回の地震対策の有意義な情報を流せる様に心がけてます。
http://twitter.com/dotcom07 http://www.facebook.com/dotcom07 http://togetter.com/id/dotcom07
実際、原発の危険性より原発で失われる雇用の方がはるかに危険。東芝や日立の労働組合の人達は自分達の仕事を失っても反原発なのでしょうか。
中島氏にとっては広島と長崎の原爆による被害者もカウントされているんだろうと思います。原発と原爆は明らかに違うのですが、特定の人たちにとっては「同じ核分裂だろう」「同じウランだろう」と核=悪魔のように思い込んでいる気がします。
まさにそうです。
火力発電関連の死亡事故の数値は初めて見ました。有難うございます。
何度も言ってしまっていますが、原発事故で改めて考えたのは、事故の被害は経済的被害が殆どであり人的被害はわずかだということです。
津波が周期的に起きるのだから、住居を高台に移すよう強制する事のほうが、リスクマネジメントとしては遥かに妥当です。誰もそれを罵らない。
建築も新しく建てる住居は沖縄のように全部鉄筋にしてしまえば、揺れの被害も軽減する。なのに誰も真面目に議論しない。
原発事故の被害の大きさはマスコミの報道の分だけ大きい
これが真実だと思います。
また、今回の様な事態に備えるほどの非常に高い安全性を言うならば、原発テロ、ミサイル攻撃なども考えなくてはならず、絶対に安全にするのは絶対に出来ない。どれだけ津波に耐えてもノドンミサイルに耐えますでしょうか?
今起きた津波の事だけ議論して、ああしておけば良かったとするのは馬鹿げた話で、正に結果論。
普段マスコミを見ていいても、たばこの話も交通事故死亡者数の話も、津波被害対策も、原発テロもちっとも出てこない。他の事象と同じ視点で考えるという当たり前の社会正義が無い。
今の報道が、みんなの気を引いて楽しければよい。それしか頭にない。
フランスのように、電力需要の大半を原子力発電で賄っている国もあります。
世界第2位の原発大国フランスの原子力発電量は、トップのアメリカの半分に満たない。
しかし依存度は最も大きく、電力の8割以上を国内19カ所、計58基の原子炉で生産している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110330-00000000-natiogeop-int.view-000
もちろんフランスだって原発事故を経験しています。けれども「事故直後を除きウラン
濃度は1リットル当たり15マイクログラム以下に落ち着いており、住民の尿検査など
からも影響は出ていない。」とのこと。
フランス:事故相次ぐ原発関連施設 放射能漏れ、波紋広がる(毎日新聞)
http://www.asyura2.com/07/genpatu4/msg/593.html
原発を今後も続けるなら、原子力大国フランスからの技術導入を希望します。
東電が信頼を失った今、戦後の一時期に戻ったつもりで学び直したほうがいいです。
池田先生と同じく大槻先生も
「原発は安全ではありませんが必要です」
http://ohtsuki-yoshihiko.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-9f53.html
と言っておられます。
原発を今更なくすなど不可能です。
http://ameblo.jp/tsukumomutujp/
中島氏が、純粋左翼系メディアで「保守」を自称する滑稽すら理解出来ないのが不思議で成りません(彼は他に週刊金曜日などにも執筆しています)。
一時沸騰した民族派・小林某との不毛で空疎な「パール議論」も記憶に新しいところです。
彼は、自身が日本で保守と錯誤されている「民族派(国家社会主義者)」ですらない、旧態依然とした化石左翼であることが理解出来ていないようです。
本当の保守主義(=自由主義)者ならば、こんなカビの生えた「為にする反対」などには目もくれず、「電力会社の自由化」の方を掲げて当然でしょう。
池田先生のご指摘の通り、このような化石左翼が「原発は危険だから廃止せよ」という盲目の絶叫と続ける限り、推進派と是認派による「安全神話構築」は続き、意味あるエネルギー政策論議は成されないでしょう。
原子力発電と石炭火力発電の論議のネタ元はココ
http://nextbigfuture.com/2011/03/deaths-per-twh-by-energy-source.html
かと思いますが、ここで取り上げられたWHOのデータの信頼性をかなり客観的に分析しているブログがあります。
http://furukawayuki.blogspot.com/2011/03/blog-post.html
詳しくは上記ブログをご覧頂くとして、WHOの数字は死者の範囲(何をもって●●発電の死者とするか)が不明瞭で議論の余地があるという結論になっています。
池田さんはtwitterでつぶやいてらっしゃいますし、コメント欄に同様の投稿がありますが原発=原爆と勘違いして恐怖心から騒ぐ、と言うのが一連の頓珍漢な
発言の根底でしょう。それを訂正すべきマスコミが尻馬に乗って煽るから、最低です。
ただし、こういったデマをきちんと訂正するのは難しい。救いがたいマスゴミの罪ですよ。
フランスと日本を比較するのは無駄ですね。
地震の発生頻度が全く違うのですから。
チェルノブイリは現在でも癌になってる人が多数です。
そして、ソ連が正しく情報を開示したのか?作業員で急性被曝で無くなった人は何人だったか?誰も分かってません。
原油採掘で死亡する人は事故の結果でしょうけど、放射性物質の採掘で、その後、被曝に苦しんだり死んだ人まで確認してるんでしょうか?
放射性物質は即効性だけではなく遅行性の害もあるのですから、死者数だけ数えるのは不適切ですし、因果関係が証明されない限り被曝が死亡原因にはならないのですから、少なく見えるのは当然では?
ちなみに、経済的被害に関しては明らかですね。
火力発電所の事故で、近隣地域に何十年、何百年も住めなくなるという事は考えられません。
本来であれば、このようなコストも発電コストに含めるべきであり、それを考慮しなくても補助金ジャブジャブで廃棄コストを無視している原子力発電は他の全ての発電方式と比べてコストが高い。
そもそも、真っ当な企業だったら、たった1回の事故で会社が破綻に追い込まれるリスクなんて絶対に持ちませんよ。
>われわれの身の回りにある最大のリスクは、自動車とタバコ。
これに加えてリスクが如実に高いのは「飲酒」ですね。
三大危険因子は「自動車・喫煙・飲酒」です。
スポーツで一番危険なのは「ゴルフ」。
私は些か異なって見解を持っています。
放射性物質が持っている根本的な危険は、本質としての遺伝子に対する危険です。
放射線が,遺伝子を毀損するのは,明らかな事実です。大量に浴びれば,確実に,細胞を破壊して確実に生命が奪われます。[直ちに]危険がないとする説も、生涯に亘って危険がないとする線量も、自然界にある線量も、単に確率の問題であるに過ぎません。
放射線が,本質的に,原理として,遺伝子を毀損するという事実は、それだけで十分に危険です。確かに,体外被曝は、強度と時間の積に比例しますから短時間であれば,ある強度を浴びても影響はありません。しかし、体内被曝となると話は全く別です。測定器で,測定できないような微細な、放射性粒子が体内に取り込まれ、拘束されて留まれば、そこで、どれ程に微弱であっても,放射線を出し続けます。その放射線によって、一個の細胞の遺伝子が傷つけば、その傷つけられて遺伝子をコピーし続けて、やがて、ガンを増殖するようになる可能性があります。つまり、その為に要する年数は、5年10年に留まらず、30年後であるかもしれません。或いは、体外被曝であっても、同様に,一度でも大量の放射線を浴びて遺伝子が傷つけば、やがてガンを発症する可能性があります。
日本人の半数がガンで死ぬと言われるのも、あの大気圏核実験で大量にばらまかれた放射性微粒子を知らずに体内に取り込んでいたからかもしれません。
全く喫煙経験がないのに、肺がんを発症する理由は、そこいらにあるかもしれません。30年、40年、50年前の被爆体験の因果を科学的に求めるのは或いは困難かもしれませんが、それを否定する論拠も又ありません。
このツイートで0.5シーベルト。
交通事故との比較をされていますが、そもそも受益者と負担者が異なる物を比較しても理解が得られるとは思いません。
自動車事故で被害に遭うのは主に道路に関わる人(運転手、同乗者、通行人等)です。一方、福島原発は東電が関東一円に電力を供給すべく運営していますが、今回の事故で放射能被害を受けたのは電力の供給を受けていない東北地方の人でした。
もし仮に東京の真ん中に原発を建設するとなれば、先ず議論となるのはコストではなく、その危険性なのでは?
原発の事故を怖いものにしているのは、「不確定」要素が非常に多いということではないでしょうか。
車と衝突すればどんなことになるなんてすぐ想像がつきます。
その車を動かしている化石燃料は燃焼させることによる熱エネルギーですが、人が火を使ってもう千年の単位で時間が過ぎています。
しかし、原子力はその原理となる核分裂が発見されたのはたったの70年前です。
現に初期の研究段階では多くの人が被爆して白血病で亡くなっていますし、”分からないことが多いこと”に問題があるのではないでしょうか。
さらに、自動車事故のように一発で死亡してしまうものよりも、じりじりと蝕んでいくような放射能はより、人間の精神に対する負荷が大きいように思います。
非合理な選択をするのは日本人だけでなく、スイスやドイツのような国も同じだと知りなんとなく落ち着きます。
池田さん も寄稿しておられるニューズウィークでも、アメリカの過剰なテロ対策を批判する記事が。
世の中アホが多い
今回の原発事故、hardwareよりもsoftwareに問題があったのだと思います。あまりのおそまつに、海外では「日本人、あほちゃうか?」と内心おもっているでしょうね。
しかし、haedwareにも改善の余地があるのではないでしょうか。安全装置については国内原子炉は基本的に同一設計に、そしてできるだけユニバーサルデザインにいうことです。専門ではないので、具体的には展開できませんが、パニック時の手順は目をつむってもできるくらいに(例えば飛行機の救命胴衣のように)できると思うのです。部品数でいえば原発より飛行機の方が多いし、不確定要素だって飛行機の方が多いのですから。
正直、今回の経験、ノウハウこそ財産だと思います。このままいじけてつぶれるか、これをバネに這い上がるか、どっちでしょう?
こちらの記事、大変興味深く拝読いたしました。
自動車事故の死者数と原発死者数との比較、どうも腑に落ちなくて考えていたのですが、比較すべきなのは、自動車そのものの欠陥に起因する事故の死者数と、原発そのものの欠陥に起因する死者数なのではないでしょうか。今回問題となっているのは、原発そのものの、自然災害に対する欠陥ないし脆弱性だからです。
自動車の年間5000人の死者のほぼ全員が、自動車そのものの欠陥ではなくて運転ミスによるものだと思います。(北米トヨタの急加速も間違いだったようですので)自動車の構造や部品の欠陥により死者が出たのなら、当然リコールされます。重大な欠陥なら販売そのものが禁止されるでしょう。
もっとも、チェルノブイリもスリーマイルも東海村も人的ミスによる事故のようですので、そういう意味では死者は出ていません。原発は事故の影響が大きいため、人的ミスが事故につながらないよう、自動車よりはるかに安全対策に費用をかけているのではないかと思います。(非現実的ですが、道路と運転者が引き起こす自動車事故も、全交差点を立体交差にして、車と人を完全に分離し、障害物が近づけば完全に車がストップするシステムを作れば原発なみに減るのではないでしょうか)
今回の原発問題を自動車にたとえるなら、走行中にマグニチュード9の地震が起きるとブレーキがきかなくなり大規模な事故を起こすという欠陥があることがはじめて判明した。だからリコールすべきだ、という状況なのではないかと思います。
初めてコメントするので不躾なところがありましたらお詫びいたします。
今回のエントリーの中での「危険」という言葉の使い方に疑問を持ちました。IEAの統計は単に各分野での「死者」の数を比較したものであって、仮にその数を「被害者(被災者?)数」又は「被害金額」という数で換算するとどんな結果になるのでしょうか。トレードオフという概念を使う限り、「リスク」という言葉の中身を幾つかのフェーズに分けて考えることも重要なのではないでしょうか?
池田さんの投稿の趣旨は「自動車の死亡事故数を例に出すなら、同じく各エネルギーに関する死亡数で比較しないとapple to appleの比較にならない」、という事ではないかと思うのですが。それなのに起きていない潜在リスクとか別の要素を入れては議論が混乱するのでは。
あと、あまりコメントの議論に挙げられていないが、地震による千葉県市原市、宮城県仙台市での石油コンビナート爆発火災、気仙沼市での大規模火災は皆さんどう評価なさるのでしょうか。今回の原発被害に比較して特に気仙沼の火災はおそらく、地震と津波でも生き延びた人にかなりの被害を与えた可能性があります。おそらくは漁港の燃料タンクからの重油が延焼した可能性が高い。
もし千葉のコンビナート火災が津波による石油流失を伴うものだったら?
おそらく市原市は壊滅したでしょう。東京湾ではまず津波は起きませんけどね。
原発の最悪の事態での潜在リスクを議論するなら同様に火力発電での燃料の流失と延焼という最悪リスクと比較しないと意味がないと思います。
今回の震災でもガスの復旧は最も時間がかかりました。よって「原発で発電してオール電化住宅」が最も安全で復旧も早いと感じます。
ともあれ、もし、上記石油火災が想定外の津波によるものでしょうがないのなら、今回のトラブルもしょうがない、と言って良いんじゃないでしょうか。改善の余地はものすごくありますが、日本人は改善が得意だから、次は大丈夫でしょう。
とにかくインフラ復興にはまず電気が必要なんだから、女川でも柏崎でもさっさと再起動してじゃんじゃん発電してほしいと思います。停電防止のため石原知事は花見中止じゃなくて、新潟や東北の原発地域の知事に再稼働の協力を依頼するべきではないでしょうか。
「日本の原発奴隷」を読まれたことはありますか?
よかったら読んでみてください。
http://www.jca.apc.org/mihama/rosai/elmundo030608.htm
私は原発のリスクは土地を失うことに対する恐怖心だと思っています。まず、人間は原初的本能としてナワバリ意識を持っています。それに加えて日本人は江戸時代はその土地から離れることは禁止されていましたし、明治、大正、昭和初期までは物理的、経済的に容易に移動することができませんでした。今のように簡単に移動できるようになったのは高速道路、新幹線が整備されたここ30年ぐらいでしょう。すなわち土地を失うことは、その共同体の全滅を意味しています。土地に対するリスク感覚は尖閣諸島と同じ問題です。そして人の命を失うリスクですが、日本人は世間というグループに同質化している社会ですから、共同体に対して命を失う個人というものを大切にしません。もともと戦争は領土を奪うために個人の命を犠牲にする行為ですし、土地に対して人口が増えすぎないように、赤子の間引きというのほここ100年前程度ぐらいまでは普通にやっていたと聞いています。今でも、過労死などがありますが、日本人はまるでそれが共同体のために犠牲になった美徳のように扱います。すなわち土地を失うリスクは人の命を失うリスクより日本人にとって高いと考えても良いのではないでしょうか?
それゆえ原発に対してヒステリックになりやすいのはその土地が永劫使えなくなるという恐怖心から発生しているものゆえ理性が働きにくくなっていると考えます。こう考えると日本人にとって自動車を使うリスクと原発を使うリスクは原発のリスクの方が高いと考えている人が多いというのは考えられることです。
※8さんの情報を読んで、気になるところを抜粋してみます。
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図は直感に訴えてくるにもかかわらず、日本語記事では数値が示されていません。これはよくないでしょう。仮に数値が正しかったとしても、それを辺の長さで表現するのか、面積で表現するのかによっても大分印象は変わるものですよね。
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京都大学原子炉実験所のこのレポートによると、1945 年から1989年まで(つまり45年間)の原子力のためにガンで死亡した人数は、ICRPというモデルで計算して117万人、ECRRというモデルで計算して6160万人にのぼるといいます。(45年から、ということは広島・長崎も含まれているのかもしれませんが、1950年までに死亡した人数の合計で 35万人程度と言われていますから、それ以外によるものが非常に大きいでしょう。)乱暴ではあるが、年平均をとって、年間死亡者数をとると、ICRPで 2.6万人、ECRRで137万人となります。
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原発に賛否があるのは、その策の良し悪しも若干ありますが、最も大きいのは賛否を判断する人の視野視点の高低がその答えを導き出しているのだと思います。
池田さんのような、高く広い視野・視点を持ち多くの人の自立を誘う人、のメッセージからの推測ですが・・・
liveitiziさん
1年間で100mSv以下なら発ガン率に対する影響は認められないらしいですよ。
However, available scientific evidence does not indicate any cancer risk or immediate effects at doses below 100 mSv a year.
以下のサイトより
http://www.world-nuclear.org/info/inf05.html
ちなみに30年間での自動車事故死者は15万人くらいになるでしょうね。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011033001000170.html
石炭火力発電所の公害による死者は、原発事故の死者より多いとの意見を「米中枢同時テロの世界貿易センタービル崩壊に注目する必要はなく、道路横断中に死ぬ人の方が多いというようなもの」と指摘。
まだはっきりとは分かっていない、というだけです。放射線の身体への影響のメカニズムを考えれば、生体の修復機能によって賄われる部分があるとはいえ、ある閾値以下で影響が無くなるものであるとは考えにくく、
実際に、国際放射線防護委員会などでは、実効線量で100mミリシーベルト未満でも線量に従って、一定割合で発がんが増加するとしています。
また、発電用の原子力と石炭を比較することには意味があると思いますが、車と比較してそれより危険性が低いということには、一切の価値を見いだせません。ただのミスリードのためだけの荒唐無稽で失笑ものの愚論でしょう。
なにせ、原子力発電所と自動車は代替関係にないので、どちらかのみを選択するようなトレードオフ的なものではないから。タバコの話なども同じ。
禁煙をしつつ原発を止めた方が発ガンリスクは下げられるのであって、禁煙か原発を止めるかという問題ではないので、比較するべきものではそもそもない。
そんなイメージ論に意味があるなら、世の中のたいていのものは毎日一杯の水を飲むより危険だ、とか何でも言える。あるいは、冬山登山よりは安全だ、とでも。
そんな意見は無意味無価値どころかミスリードを生めば有害ですらある。
池田様の試算ですが、少々疑問もあります。
駄文を書きましたので、ご笑覧ください。
http://www.digitalinfra.co.jp/20110401/ikeda.20110401.1.html
有限会社デジタルインフラ 岡島 純
>「米中枢同時テロの世界貿易センタービル崩壊に注目する必要はなく、道路横断中に死ぬ人の方が多いというようなもの」
政治的にはともかく、安全対策という意味では何の問題もないかと。
政府が防ぎえたかと言うことについて、議論の余地はあるものの、ビル内に居た人間にとっては稀有な事象であり、事前に予測することは困難です。
道路横断前に左右の確認をする誰にでも簡単に出来ることと
リスク減少手段として比べるべくも無い。
また、全てのビルに「ジャンボが突っ込んでも大丈夫」な防御をすることは非現実的です。
それによって減る死者よりも、全ての自動車に衝突コントロール機能を義務付けるほうが良い。
世の中の大多数は数値だけで物を考えているわけではないですよ。いくら微量の放射線は人体に影響を与えないといっても、現に一部の日本の農作物や魚類は規制されはじめています。
人の不合理な行動も含めて考えないと、さらに日本の経済被害が大きくなる気がしますよ。
美浜原発で死亡事故があったというコメントがあったが、削除しました。あれは配管の事故で放射能が原因ではない。そういう事故をカウントすると、火力のほうがはるかに危険。
東京電力は、石炭・石油会社の様にちゃんと被害賠償をトレードオフするんだよね?単体で?
数兆~数十兆もの金額負担をする前から、トレードオフに沿った経済的合理性が客観事実とするのはおかしいのでは?
賠償出来ませんでした。潰れます。国が払って下さい。になればそもそも合理主義ですらない。
上にも書きましたが、池田氏の死亡率の計算に私は疑問を持っております。
http://www.digitalinfra.co.jp/20110401/ikeda.20110401.1.html
池田氏は、発展途上国の石炭ストーブの
NOxやSOxによる
大気汚染の死者の死亡を
石炭火力の死者に入れているのでは?
これを、脱硫装置などがきっちりついている先進国の石炭火力による死者と同一視するのは違うのでは?
現実問題として、日本の電気の3割は
石炭火力ですが、
それによる大気汚染で国民が死んでいますか?
有限会社デジタルインフラ 岡島 純
池田さんや大前さんに体外被曝と体内被曝のちがいや食物連鎖による放射性物質の濃縮に関する十分な知識があるとはとても思えない。もちろん、私にも十分な知識はないですが、大量の放射性物質が海に流れだしたと思えるので、漁業への被害は甚大でしょう。また、東電の株や社債は外国人投資家も買っている。国の内外で大変な訴訟ラッシュが起こると思います。今回の大惨事の損害は20兆円以上との見積があるようですが、私には東電が支払う賠償金だけで20兆円以上になるような気がする。
はっきり言って、日本という「ブランド」を傷つけた東電の罪は深いです。私は100兆円以上の損害が生じたと思っています。「ブランド」を傷つけないためにも、原発は止めるしかないですよ。何度も言いますが、電源開発の中心を高性能石炭火力にシフトすべきでしょう。私は、バカげているとしか言いようのない二酸化炭素削減国際公約を撤回しない限り、民主党との連立には反対します。
> shintani_akiraさん
○○mSv以下に発がん性が認められない、という説は「しきい値説」になりますが、残念ながらこれは古いモデルのようです。
詳細は『低レベル被ばく影響に関する最近の報告より』今中哲二(京都大学原子炉実験所)
第106回原子力安全問題ゼミ 2009.3.6
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No106/imanaka090306.pdf
を御覧ください。
低レベル被爆でもリニアに発ガン率が上がるという統計的に有意なデータが報告されて来ているようです。
また最近では、ECRR勧告 2010 放射線リスクモデル というアップデートされた基準も出てきています。
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nuclear/articles/ECRR_Recommendations_2010.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nuclear/articles/110319_ECRR_Risk_Model.html
低線量放射線被曝のリスクが見直されています。
このモデルが真ならば、前提となるデータが根本から覆され、旧来の試算が出した結論を180度変えてしまう可能性もあるのではないでしょうか。
以上、皆様方のご主張、地割れにはくれぐれも慎重になさいますよう申し上げます。
(1)ウラン採掘でも、死亡事故はおこっていないのか?
(2)放射能に汚染された場合、即死はなくても時間がたってからの影響がある。1000人の方が本来の寿命よりも3年早くガンで亡くなっていたとすれば、3000年分の命が失われているといえるのではないでしょうか。
本来の寿命など定義できないから、無視するという考えもあるかもしれませんが、反対派の人たちは、このような将来に影響を与える点を考えているように思えます。
しかし、一方で暗闇で幽霊を怖がることは馬鹿馬鹿しいと理解していても、怖いものは怖い--それが人間というものです。
ましてや、幽霊以上によくわからない目に見えない禍々しいモノが目に見えるかたちで国土を毀損し、空気や海を穢す--そんな人倫世界の美徳に反する現実が今、確かにここに在る。
そのような現状で「交通事故の方がリスクが高い」やら「変化率に喰いつくマスコミのせいだ」と言われても、反原発派の目に余る言論への牽制としては効果はあるかもしれませんが、大概の人には理解不能であり、残念ながらそれが我々の住む世界です。「民度が低い」で片付けても仕方ありません。
3.11も9.11のように、そんな「恐怖の象徴」として、経済合理性を嘲笑い続けるでしょう。
また、経済学的な視点からすると、トレードオフが計量的に成立するのは安全性ではなく発電や信用へのコストなのは間違いありませんが、経済の外の価値観とのトレードオフも現実として問題になります。
つまりは、迷惑施設の迷惑料と美徳を売り渡す額との均衡点ですが、新規立地については非現実的な額に振り切れてお終いでしょう。
そもそも札束で頬を張れるほど、政-官-財の関係が安定することも今後は無いでしょうし。
原発に懐疑的な方も擁護される方もそれぞれ活発に煽りを入れてらっしゃいますが、何故か皆様、新規立地はもはや不可能、既存の施設はあらゆる意味で止めるに止められない、電力政策は大幅見直し、生活は当面は不便、今後はより貧しくなる--と、いったあたりでほとんど一致されてます。
一般的な国民感情もだいたいそのあたりだと感じますので、ここは政府と電力会社にとっとと腹を括ってもらいたいものです。
原発の場合、火力や水力と比較すべきは人命コストでなく、事故発生時の経済的コストの『トレードオフ』が成立するか否か?では無いのか?
例えば、火力などの場合には重大な事故が起きても周辺汚染やそれによる経済損失を考えれば、今回の原子力の様に住民避難な立ち入り制限などと比較にすらならない。漁業・農業・交通への直接的ダメージも限定的だ。
対して、原発の場合では賠償つまりは主原因での損害だけで10兆以上の計算だ。それが言い方が悪いが福島の海岸線という地方ですらこれだけだった。
リスク・トレードオフでは今回の原発事故で『半径30Kリスク』は3・11以降必須事項となる。静岡の原発で事故が発生した場合、半径30Kは新幹線・東明高速などを含む。
その場合の経済損失や原発による賠償リスクはトレードオフが可能か?
車は自己責任で乗ってるのです。
へたくそな運転手でも運転でき事故発生率を高めてます。
そして法律をゆるやかにしてます
これは国民の利便性のため国民から納得されてるからです。
さらに
事故を起こした時の人的被害、経済的被害が莫大になってしまいます
さらに
自動車は毎年技術革新がおこなわれ死亡率が下がってます
それはエアバックなどです
車は動いてるたり色々な人が運転するので原発ほど簡単な技術で安全はまもれません。
原発の場合古臭い昔のものをつかって危険です
>>TWh(1兆ワット時)あたりの死者は、石炭火力の161人に対して原子力は0.04人である(ほとんどがチェルノブイリ事故の死者)。
それは、どうも違うのではないでしょうか。
本文のコメント欄(GoatGuyさん)を見ると、104人/2600TWhで、0.04FATAL/TWh(deaths/TWh)とあります。
http://nextbigfuture.com/2011/03/lowering-deaths-per-terawatt-hour-for.html#comment-166787008
この原発の104人という死者数は、余りにも少なすぎるように思います。
ちなみに、2600TWhは全世界の原発の発電量で、これは確かな数字のようです。
http://www.astronoo.com/articles/nuclearEnergy-en.html
http://www.world-nuclear-news.org/newsarticle.aspx?id=27665
たとえば、ウクライナの例について大雑把に見積もってみましょう。
まずは、ウクライナの年間原子力発電量は、788億キロワット時(78.8TWh)とあります。
http://www.excite.co.jp/News/science/20110331/Nationalgeo_2011033103.html
チェルノブイリ事故の死者数は、ECRRの推計を用いれば、6000万人~1億3000万人ですが、
ECRRに批判的な今中さんの推計を用いると、13万~42万人とあります。
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No102/imanaka060414.pdf
ここから計算すると、13万~42万人/78.8TWh=1649~5329人/TWhとなります。
これを全世界の原発の発電量あたりで計算すると、13万~42万人/2600TWh=50~160人/TWh(ECRRなら、23000~49800人/TWh)となります。
0.04人/TWhという世界の原子力の平均死亡率は、単発のチェルノブイリ事故だけを考慮したとしても、余りにも小さすぎる値だと思います。
チェルノブイリ事故だけでも、少なくとも、1000倍以上の50~160人/TWh(ECRRなら、23000~49800人/TWh)、ウクライナ一国あたりなら、1649~5329人/TWh(ECRRなら、76万~165万人/TWh)にものぼり、決して、石炭などに比べて、安全とはいいがたい数値のように思われます。
アメリカの例ですが、US原子炉プラントに由来する19歳以下の白血病死者数は、(1155+1037)+(287+255)=2734人という推計があります。
http://www.radiation.org/reading/pubs/ecc_948.pdf
ドイツでも原子炉に近いほど、子供の白血病や癌の発症リスクが高いという報告があります。
http://www.nirs.org/radiation/radhealth/kikkcommentary0709ijoeh.pdf
上記の例は、子供のみを対象とした報告ではありますが、0.04人の根拠となった140人の原発由来の死者数は、やはり、余りにも過小評価されている可能性があるのではないでしょうか。
失礼しました。ECRRの推計は、WWⅡ以後に放射線被曝による累計の死者数でした。ECRRのアレクセイ・ヤブロコフらによるチェルノブイリ事故の死者数の推計は、『事件の起きた1986年から2004年までの18年間に98万5千人』とのことです。
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/tsuushin/tsuushin_11/pico_152.html