日米欧など七つの国と地域が共同で取り組む国際熱核融合実験炉(ITER)計画の総責任者、本島修ITER機構長がこのほど青森市内で会見。昨年7月の就任後、国内初開催となるITER理事会を青森で開いたことに触れ、「被災県で震災後3カ月という短時間で開催できたことは、復興に向けた日本の心構えと具体的動きを各国に示す大きな意味があった」と述べた。
理事会には米エネルギー省のブリンクマン科学局長や欧州委員会のスミッツ研究総局長、インドのグローバー原子力庁最高顧問ら、各国の研究政策のトップが出席。青森市内で2日間、震災による研究の遅れに対する対応と経費削減策が検討された。
国内のITER関連施設では、茨城県那珂市の試験施設が被災し、計画に影響が生じる見通し。一方、六ケ所村の国際核融合エネルギー研究センターには支障がなく、核融合の実用化に向け、ITERに続く次世代炉技術開発などが今年度中には本格化する。
本島機構長は「研究人材が育つ中核が青森にあるのは重要。次世代炉の最有力候補地だ」と強調。福島第1原発の事故を受け、「原子力の安全の観点から、より多くの説明を(各国から)求められていることは確かだが、核融合は想定外のことが起きても安全。しっかり責任を果たしたい」と述べた。
ITERは、太陽で起きている核融合反応を炉内で再現し、エネルギー源として利用するもので、日米欧と中韓露印が参加して07年にITER機構を設立。実験炉をフランスに建設し、「試運転」となるプラズマ発生を19年11月、実験開始を27年3月に計画している。【山田大輔】
毎日新聞 2011年6月18日 地方版