東京電力は18日、福島第1原発内にある高濃度の放射性汚染水を浄化するシステムが、本格運転開始から5時間で停止したと発表した。処理した水を原子炉冷却に使う「循環注水冷却」は、汚染水の増加を食い止め、原子炉を安定的に冷やすための最重要課題。敷地内の汚染水はあと1週間程度であふれる恐れがあり、東電は1週間以内の再開を目指している。
同システムは17日午後8時に本格運転を開始した。東電によると、停止したのは米キュリオン社製のセシウム吸着装置内にある箱形設備「スキッド」(縦2.5メートル、横8メートル、高さ3メートル)。運転開始から5時間後の18日午前0時54分、表面線量が、内部部品を交換する基準の毎時4ミリシーベルトを超えたため停止した。東電は「想定より早く線量が上昇してしまった。近くの配管の線量が影響したか、高線量の汚泥が詰まった可能性がある」として、対策を検討している。東電は当初、交換時期を1カ月に1回と想定していた。
経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は18日の会見で、同システムでトラブルが相次いでいることについて「一歩一歩解決するしかない。今月最終週までなら汚染水の移送先を確保できるが、その時まで運転がうまくいかないと別の選択肢を探さなければならない。それまでに解決したい」と述べた。【種市房子、岡田英、中西拓司】
毎日新聞 2011年6月18日 10時48分(最終更新 6月18日 21時02分)