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セックス
 私も昔は、貞淑な人妻だったんです。それが、あの人と出会ってから変わってしまって。
 今では夫におかしいと思われないか……苦心して言い訳を考える毎日です。

     ♀

 今日もあの人は家にやってきます。
 ピンポーン。
 ほら、来た。
 ドアを開けると長身で金髪の、真っ黒に日焼けした若い男性の姿がありました。
 たくましい上半身を白のタンクトップ一枚に包み、筋骨隆々の腕を惜しげもなく披露している彼。名前はケンジ。年齢は二十一歳で、私より五つ年下。定職には就いていないということ以外は、何も知らない相手です。
 もし一緒の電車に乗り合わせても、絶対に目を合わせないような人。
 だって、肩には髑髏と蛇のタトゥーが入っていて、全身から恐ろしい迫力を漂わせているんですから。
 動物園でライオンを見た時のことを思い出してしまいます。本能的な恐怖に、私は鳥肌が立つのを抑えることができません。
 けれど私はそんな彼に、「どうぞ上がってください」と声をかけるのでした。
「おう、今日もエロいな」
 そうなのです。私は今、裸にエプロン一枚という格好をして彼を出迎えているのです。三十分前、彼にメールでそう指示されていたから……。
「あ……ケ、ケンジ様……」
 彼の靴を揃えている最中にも、剥き出しになった生のお尻を撫でられます。
 そう、私は今日も──彼に「女」として扱われる予定なのです。

     ♀

 彼と初めて出会ったのは、美咲の家に遊びに行った時のことでした。
 ちなみに美咲というのは大学時代からの友人で、私が結婚してからも付き合いを続けている数少ない女友達の一人です。
 最初は二人で普通に過ごしていました。が、途中から美咲が「男を呼ぼう」などと言い出して……。
 その時にやって来たのが、いま目の前にいるケンジと、もう一人、彼の友達のユウイチでした。

 そうして急遽、男二人と女二人の飲み会が始まってしまったのです。
 美咲は独身で気楽なものですが、私は結婚して夫もいる身。もちろん断って帰ろうとしたのですが、三人に帰るなと言われれば……どうすることもできませんでした。
 生まれつき押しに弱い私は、勧められるがままにお酒を飲まされてしまっていたのです。

 どこからどう見ても、女に飢えた野獣のような男二人。もちろん私たち二人は、その日のうちに強引に押し倒され、裸に剥かれて──犯されました。
 美咲はどんな男が来るのか分っていたので平気なようでした。どちらかというと遊び感覚で、自分から男の身体に腕を回したりもしていました。
 けれど私は違うのです。
 人妻で、男と遊ぶことにも慣れてはいません。
 ですから、女友達の家で、彼女の見ている前で……もうほとんどレイプされているような状態でした。
 強引に飲まされたお酒の量をもう少し減らしておけば、逃げ出すこともできたのかもしれません。
 しかしその時の私は、半ば酩酊状態。自分よりずっと体格が大きい男性に押さえつけられては、どうすることもできなかったのです。

 結局、酔って火照った身体を朝まで徹底的に嬲り尽くされました。
 人妻の肉体は、多少乱暴な愛撫にも敏感に反応してしまいます。夫のものより一回りも大きなペニスで長時間犯され続けては──さすがの私も自我を崩壊させずにいることはできませんでした。
 その時はもう訳も分らない状態で、夫のことさえも考えられなくなっていました。
 ねちっこいキスをされて、肉棒をしゃぶらされて、そして、二人の男性に代わる代わる犯されて……。
 もちろん、こんな乱暴な男たちが律儀に避妊してくれるはずもなく、すべて生で中出しです。

 記憶の中で私は──美咲と口移しでお酒を飲ませあったり、彼女と二人して一本のペニスにご奉仕していたり、二人の男に上下の口を塞がれていたり、三人に身体を舐められながら中出しを食らったり……そんなことまでしています。
 本当に、あの時のことは思い出すだけでも顔から火が噴き出る思いです。
 四人の男女が、ベッドの上で一つに溶け合っていた──。そう表現するのが一番しっくりくるような、とんでもなく破廉恥な一晩を過ごしてしまったと後悔しています。

 もちろん夫にはそんなモラルに欠けた一日を過ごしてしまったことは隠し通しました。美咲に協力してもらい、女友達の家に一泊しただけということで納得をしてもらっています。
 嘘を吐いた代わりにと言っては何ですが……以降、夫を裏切る行為は慎もう、一生をかけて罪を償おうと決意する私なのでした。
 信じて欲しいのですが……その時は、本当にそう思っていたのです。

 けれど、性欲に溢れた若い男性が、一日だけで人妻を解放してくれるなんてことはあり得ない話で……。
 それからというもの、私と美咲はことあるごとに彼ら二人に呼び出され、散々に犯し尽くされなければならなかったのです。
 元々遊び人の美咲はそんな日々ですら楽しむことができていたようですが、私は違いました。
 彼らに抱かれ、肉の悦びを教え込まれるたびに──夫に対する罪悪感で死にそうになっていました。
 けれどそんな罪悪感も、彼ら二人の暴力的な交尾を何度も経験するうちに、だんだんと薄まっていって……そしてついには、跡形もなく吹き飛ばされてしまっていたのです。

「おら、テーブルに上がれ」
「……はい……」
 最初に抱かれた日から、半年が過ぎた今現在。
 私は、夫とは全くタイプの違う男性の魅力というものを、身体中に刻み込まれてしまっていたのです。
 もはや言い訳もできないほどに、彼らとの淫猥な行為に心酔してしまっている自分がいました。
 彼の命令にビクつきながら従い、そしてその行為に甘い官能を感じる。力強く、恐ろしい男の言いなりになる。
 それは、ドクドクと心臓が高鳴るほどに非日常的で……かつ、刺激的なことでした。

 テーブルの上に乗り、裸にエプロン一枚という格好のまま──M字開脚をする私。
 ケンジ様はそんな私の頭を強引に掴んでキスをしてきました。右手が女芯に伸びてきて、私は口の中に舌をねじ込まれたまま身体をビクつかせました。
「んああ……あ……」
 おまんこをいやらしい手つきでさすられながらの、濃厚な接吻。
 上下の唇が湿り気を帯び、私は情欲の炎が身体の中で勢いを増すのを感じます。
 彼はさっそくズボンを下ろしてペニスを取り出しました。
 雄々しく天にそびえるその巨根を前にして、興奮のあまり口が閉じられなくなる私なのでした。
 男性器を見て期待を高め、股間から汁を滴らせて震えているだなんて……昔の私が見たら、一体どんな顔をすることでしょう。
「……ああぁ……」
 瞳の奥に、犯罪的な光を宿した彼。
 そんな彼にじっと見つめられながらの挿入は……たまったものではありませんでした。
 真昼間から、夫がいる身で何をしているのかという思いも──彼のピストン一発ですべて簡単に吹き飛ばされてしまいます。
「んあああッ……!」
 もはや私は、彼の性奴隷です。
 いや、きっと最初にレイプまがいの交尾をさせられたあの日から、私は彼ら二人のエサでしかなかったのだと思います。

     ♀

「アンッ! アンッ! アンッ!」
 あまりに激しいピストンに、テーブルがガタガタと音を立てて揺れています。
 私はもう何度もイカされて、それでもまだテーブルの上で、腰をしっかりと掴まれて犯されているのです。
「オラッ! イクぞッ! ウオオオッ!」
 彼がそう叫び、最後のピストンをガツンと股間に叩きつけます。
 もうそれだけでダメでした。亀頭の先が子宮にまでめり込んでいて、そしてそのまま射精されて──私は目を裏返しにして背筋を反り返らせます。
「アアアアアアアアアアッ……!」
 夫とのセックスでは出さないような、獣じみた喘ぎ声。それは無意識のうちに口から溢れ出すのでした。
 ピクピクと快楽の余韻に震える私の肌を、彼はまた乱暴な手つきで撫で回します。
「アハッ……アハッ……」
 乳房を揉まれ、太ももを撫でられ、足裏をマッサージされて、私はまた小刻みに痙攣します。
 あまりの気持ちよさに、日常生活で溜まったストレスが発散されていくのを感じます。感覚が鋭敏になり、脳がクリアになっていく感じ。
「おい起きろ……」
 彼はグッタリと倒れ、荒い息を吐く私の髪の毛を掴みます。
 そして使い終わったペニスをキレイにしろと命令するのです。
 もちろん私は、彼に逆らうことなどできません。
「……は、はい……」
 返事をして、まだ温かい汁の付着したソレに舌を這わせていきます。
「今日もメシ食っていくからな……」
「ふぁ、ふぁい……んむ……んぢゅ……」
 彼は私を召し使いか何かのように思っている様子です。
 けれど、文句は言えません。
 まさにそれこそが、彼と私の関係なのですから……。

 そうして私は長い間、彼の汚れた肉棒をお掃除して差し上げるのでした。


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