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西岡参院議長が「審議拒否宣言」 首相辞任迫る狙い?

2011年6月19日9時3分

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 菅政権が国会に提出した法案について、西岡武夫参院議長が参院での審議を認めないと表明した。議長による前例のない「審議拒否宣言」だ。西岡氏は執拗(しつよう)に菅直人首相の辞任を求めており、法案審議を人質にとって辞任を迫っているとの見方もある。専門家からは「議長権限の乱用だ」との批判が出ている。

 西岡氏が「審議拒否」を宣言しているのは、国家公務員の給与を削減するための臨時特例法案。震災復興財源の確保を目的に2013年度末まで国家公務員の給与を削減する内容だ。菅内閣は3日に閣議決定して衆院に提出したが、審議には入っていない。公務員給与を増減する場合に通常は必要な人事院の勧告を経ない初のケースで、人事院の江利川毅総裁は「遺憾」との談話を出している。

 西岡氏は6日の記者会見で「人事院の了解がないまま出すのは反対だ。了解がない限り、議案を付託する考えはない」と明言。「震災、原発事故への対応で努力している」として公務員への配慮も理由にあげた。16日の記者会見でも「仕組みを無視して内閣が勝手に法案を出す方がおかしい」と重ねて自らの正当性を主張した。

 国会法は「議案が提出されたときは、議長は適当の委員会に付託する」と定める。衆院通過後に参院に送られた場合、参院議長が担当の委員会に付託して参院の審議が始まる仕組みだ。参院事務局によると、議長が議案を意図的に付託しなかった例はないという。

 西岡氏は年明け以降、首相退陣を公然と要求し、議長として異例の対応を取っている。5月には「即刻辞任すべきだ」との書簡を首相本人に送り、新聞にも寄稿した。今回の「審議拒否」も「退陣時期を明らかにしない首相を牽制(けんせい)するのが狙いで、単なる嫌がらせ」(民主党参院議員)との見方が出ている。

 西岡氏の姿勢に、専門家からは批判も出ている。東京経済大の加藤一彦教授(議会制度論)は「衆院で可決されれば『法案を成立させるべきだ』という衆院の意思が示されたことになり、参院で審議するのが二院制の基本」と指摘。「議案の付託は議長の法的義務で、議長の好みで議事運営を動かすことは権限乱用だ」と言う。上智大の高見勝利教授(統治機構論)は西岡氏の動きを「政局絡み」と断じ、「審判役の議長がプレーヤーになろうとする点が問題だ。参院の顔として疑問」と批判する。(二階堂勇)

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