後味の悪い引き分けだった。先手、先手でカードを切り、後半30分には3バックで1点リードを守り抜こうとしたのに、追いつかれた。去年ならば確実に逃げ切っていただろう。
原因はいくつか考えられる。守備に関していえば、ペナルティーエリア内でのシュートを許しすぎている。去年は、エリア外からはある程度打たれても、エリア内への進入を許さないかたちができていた。ここを見直さないと、勝ち点3をとり続けることは難しくなってしまう。
特に3バックにしてからは、最終ラインが下がってしまい、進入されやすくなった。ベンチのストイコビッチ監督は何度もラインを上げるよう指示していたが、前線から中盤の運動量が少なく相手にプレッシャーをかけていないため、上げたくても上げられなかったという事情もあった。
この試合に限っては、守るための選手交代よりも攻める選手交代のほうが結果的にはよかったのではないだろうか。なぜなら、試合を通じてケネディ、ダニルソンの運動量が少なかった上に、磯村、小川という運動量の多かった選手を下げたために、さらにチーム全体でボールを追う動きが減ったからだ。
ピッチ全体でボールを追う動きは、グランパスにとっては命綱。最前線からの守備は、攻撃の発端になるばかりではなく最終ラインの安定にもつながるはずだ。 (愛知東邦大監督、元グランパスDF・藤川久孝)
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