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[地方]ニュース
【東日本大震災】生活保護「廃止」相次ぐ 義援金・補償金は“収入”
2011.6.16 20:52
東日本大震災の義援金や東京電力福島第1原発事故による仮払い補償金を受け取った福島県南相馬市などの約150世帯が生活保護を打ち切られていたことが16日、分かった。自治体側は厚生労働省の通知に従って補償金などを「収入」とみなし、減額や廃止を決めたという。
生活保護は受給者に収入があれば減額や廃止の対象になる。厚労省は5月、補償金や義援金の受け取った総額が、生活用品などの生活再建費用などを上回った場合、その分を「収入」とみなす-などとする通知を各自治体に送った。
南相馬市では、義援金や補償金が支給された世帯の対象者と面談。再建費用を差し引いた補償金・義援金の額が、6カ月分の生活保護費を上回るなどした約150世帯について、生活保護を打ち切った。
対象者の了解を得たうえで、同時に補償金などが底をついた際の生活保護の再開についても説明したという。このほか、楢葉町の5世帯と、いわき市でも2世帯で支給が打ち切られた。
ただ、補償金や義援金を「収入」と位置づけ、生活保護を打ち切ることに、被災者からは不安や不満の声も上がっている。南相馬市のNPO法人「あさがお」では、施設に入居する障害者数人が生活保護を打ち切られた。入居者は生活保護から家賃や通院費、生活費を工面しており、施設職員は「震災や原発事故で通っている病院も遠くなった。入居者の精神的、金銭的な負担も増しており、義援金などが収入にあたるのか疑問だ」と話す。
厚労省は事務手続きが被災者の負担にならないように求めており、南相馬市では「手持ち金がなくなれば生活保護を再申請できると説明している。その際の手続きの簡略化も含め、元受給者には納得してもらっている」と説明している。
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