ふと鏡を見たら、髪に白髪が多くて、
こんな白髪を見られたら、男もドン引きだなと思って、美容院の予約をとり、

昨日、久し振りに、近所の美容院へ行ってきたんだが、

いつもやっていもらっている美容師のジェーンが、
あなたは元気だったか、家族は元気か、日本へはまた夏に行くのかと聞いてきたので、

日本へは行かないことにしたのだ、
家族は元気だ、

私は、つい最近、離婚することになったのだ、と話した。

するとジェーンは、大変同情してくれまして、
髪を染めている3時間、ずっと話をしてくれたんだが、

神様を大変信仰しているジェーンは、
自分も離婚の経験があるらしく、

ものすごく真剣に、私に話してくれた。

「私も、離婚した。」

「離婚したとき、おなかに子供がいた。」

「あなたも同じ、その相手は、正しくない人なのだ。」

「別れて正解なのだ。」

そして、彼女は、離婚したあと、10年経って再婚し、
子供も大きくなり、

現在、とても幸せに暮らしていて、今の旦那は、自分を大変大切にしてくれる人なのだと話した。
前の旦那には、殴られたこともある、と言った。

それで、彼女が、なぜ、私の結婚生活が壊れたのかと聞いたので、
私は考えた。


もともと、おかしな関係だったのかもしれない。


なにしろ、旦那は、自分が家で、王様のように振舞いたかった節がある。


私に何か協力してくれようという態度は、全くなかった。


何か頼むと、まずはノーと言い、自分がこれからも頼まれたりしない立場でいられるように、細心の注意を払っている節があった。


そのうち、私は段々我慢がならなくなり、文句を言ったけど、向こうは私が文句を言うのが嫌いだった。


それから、家の中では、同じ部屋にはいられなかった。


いつも、なんでも、全てが彼の好み、彼のやり方だったので、
たまには、私の好み、私のやり方にしようと言うと、大変嫌がるので、



とうとう、私は、いつも、別の部屋にいることになってしまった。



あなたと同じテレビはもう、見られないわ！と、私はいつも、別の部屋にいた。



あなたと出掛けると、いつもあなたの行きたいところだから、私はつまらない、
あなたと出掛けるのは、もう、やめるわ！と、私は一緒に出掛けるのをやめてしまった。




と、気づいたら、旦那は、お前、俺と一緒にテレビは見たくないんだろうと、一緒にテレビをみてくれなくなり、
お前、一緒に出掛けてもつまらないんだろうと、私を一緒に、連れて行ってくれなくなってしまった。



旦那は家に帰ってくると、大音量のテレビゲームを始め、私はその音に耐えられなくて、いつも別の部屋にいた。



同じ部屋で本を読もう思っても、旦那は部屋が暗いのが好きなので、電気をつけると大変怒り、
結局私は、同じ部屋になんて、いられなかった。




一緒に住んでいても、旦那と息子は居間、
私はいつも、寝室に、ずっといたのだ。





と、ジェーンは、
びっくりしたように、
言った。



「じゃあ、Relationship（関係）から出たかったのは、





　あなたが先なのね。」


まあ、そうともいえるでしょう。


でも、私は、10年前の旦那が、本当に好きなんです。
上手く行っていた頃の、いつもそばにいてくれた、笑顔の、旦那が、本当に懐かしいんです。
離婚を決めた後の、今、一緒に住んでいる旦那は、その頃の旦那を大変思い出させ、

一緒にいると、本当に辛いんです。


するとジェーンは、


近くにある水のボトルを取って、


あなたは、水が飲みたいのだ、


だけど水は水で、他にもある。


あなたは、水のボトルがなくなるんじゃないかと心配しているけど、


同じ水のボトルは他にもあるんだから、そばにある水がなくなることに、そんなに心配しなくてもいい。


あなたには、絶対、誰か、心の優しい素敵な人が見つかる。



そんな男は、行かせてあげなさい。




そして、彼女は、大学ノートを私に見せて、
左側に、自分が旦那の、どんなことが嫌いだったか書き出し、
自分が旦那に、どんな酷いことをしてきたか、書き出せと言った。

確か、どんなことが好きだったか、どんないいことをしてあげたかも書けといっていたような気もするけど、あんまり覚えていない。


何が嫌いだったか、
どんな酷いことをしてきたかを書き出すと言われ、

頭で色々ぐるぐる考えて、



色々なことを思い出していた。
書いて、自分で、どうしてこんな結末を迎えたのか、納得しろということなのですね。


それから、子供の話になって、
私はつい教育してしまうけど、
旦那は、エンターテイナーだった、

息子は、大きくなったら、父親を取るだろうと話したら、

ジェーンは、今のうちに、子供と私と、二人だけで楽しめるようなことをいっぱいしておけと言った。
勉強じゃない、教育じゃない、

遊園地に行ったり、バッフェに行ったり、ただ、子供が子供として遊べるようなことを、
今のうちに、沢山しておけ、と言った。



そして、帰る時、ジェーンは私を抱きしめてくれて、
今度、何かのパーティやデートがあるときは、電話を一本よこせ、

ただで、ヘアセットしてあげるから、



あなたは、若くてきれいだ、
きっと素敵な人が見つかると、



また強く、抱きしめてくれた。
自分はすでに落ち着いていると思っていたのに、
抱きしめられたら、涙が出た。