とても小さな頃、私は空手を習っていた
私は身体を動かす運動が大好きで、鬼ごっこや駆けっこ、サッカーも男友達と一緒になって遊んでいた
遊んでる中、同年代で私に勝てる男子は一人もいなかった。それは習い事で行っていた空手も同じだった。
その事実がとても嬉しくて、私は天狗になってみんなを見下していた
少し時が立つと、何時も遊んでいた友達が急に余所余所しくなった
その事に腹を立てた私は、その友達と絶交だと言って放ち、その日から無視をするようになった
次の日になって、又一人私を避けるようになった。その事に腹を立てる私は、もう遊ばないと言った
次の日にはもう一人
次の日は三人
一週間もしない内に私は孤立した
その時になって過ちに気付いた
それでも私は、『皆弱いから集まってたんだ、強い私は一人でもやって行けるんだ』そう言い聞かせた
―――――言い聞かせなければ崩れそうだった
下らない奴らだと笑っていた。どうせ変えられないと放り出していた。所詮無理だと諦めていた。
愚かさと醜さを嘆いていた。もう何も戻らないと自らを嘲笑っていた…
そして孤独な日々が続く
そんなある日、親の勤めている会社へ見学する事になった
折角のお休みだったから新しく買ってもらったゲームをしようと思っていたのにと、愚痴を零しながら案内してくれる親の後ろを付いていく
『大切な事を見失っていた』『他人の優しさを信じられずにいた』『心を引き裂いた悲しみを救えずにいた』
その時、私はISのコアに出会った
親や会社員の人が私に何か説明してくれているが、耳に入って来なかった
ただ、話しかけたかった
そのコアに何かを感じ取ったからなのだろうか、それは今になっても判らないけど
『寂しいの?』
そう語りかけた
其れが私達の出会い
『孤独だった私に声を掛けてくれた』
「独りだった私の言葉を聞いてくれた」
『あの暗闇から救ってくれた』
『悲しみと怒り、嘆きに満ちていた心を鎮めてくれた』
「『出会った日が私達を救ってくれた』」
その日から、私は休みの日には必ずあの子に会いに行った。
私はあの子が会いに来てくれるのを待っていた
自分の周りで起こった事、悲しかった事、嬉しかった事、何でも話した
語りかけてくる声がとても心地よくて、何時までも続けばいいのにと願った
「『あの子がいるから私は頑張れた』」
その日も工場に遊びに来て、受付のお姉さんが案内してくれた。
何を話そうかと思いながらあの子が待っている部屋に入った
何時もと変わらぬ光景が目の前に広がっていた。でも、少し違うのは、沢山の赤いペンキが飛び散っている光景と、とても大きい『お人形さん』の腕や足が辺りに散っていた事
部屋の真ん中に見た事の無い女の人が立っていて…手に持った何かを此方に向けていた。何か身体に衝撃があった事までは覚えている。
ソノアトナニガオコッタノカワタシハオボエテイナイ
『二度とこの子を傷付けさせないと、その時私は決めた』
『その身体が痛むのなら、せめて私の鎧で守ろう』
『その眼から光が奪われるなら、せめて私が眼になろう』
『その身体が重いのなら、せめて私の翼で空を駆けよう』
『傷付ける者がいるのなら、せめて…』
この心臓『コア』が壊れても
この記憶『データ』が奪われても
この命が果てるその時まで…