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松井・広島市長:「くれ、くれ」じゃなく「ありがとう」の気持ちを… 被爆者に発言

 ◇援護施策の意見交換中

 広島市の松井一実市長が、被爆体験記を出した被爆者らと16日に同市役所で面会した際、被爆者援護施策に関連して「権利要求みたいに『くれ、くれ』じゃなく、『ありがとうございます』という気持ちを忘れんようにしてほしい」などという趣旨の発言をしていたことが分かった。

 市関係者や出席した被爆者らによると、発言は意見交換の中で出た。被爆を理由に医療費支給を求めることに「悪いことではないが、死んだ人のことを考えたら簡単に言える話か」などと述べた。また、援護施策について被爆者側に感謝の気持ちを持つよう求める趣旨の発言もあったという。

 市長は、取材に対し「発言は事実だが被爆者団体代表に説明後、改めてコメントしたい」とし、弁明を保留した。

 松井市長は元厚生労働省官僚で、中央労働委員会事務局長などを歴任。4月の市長選で初当選した。広島市出身で、母親が被爆者。

 発言について広島県被団協の金子一士理事長は「被爆地の市長として被爆者援護に対し無理解ではないのか。実相を知れば、できる発言ではないと思う」とコメントした。【樋口岳大、寺岡俊】

毎日新聞 2011年6月17日 東京夕刊

 

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