「もしドラ」に上谷球場 鴻巣
| 鴻巣市のフラワースタジアムで行われた映画「もしドラ」の撮影風景＝今年２月（鴻巣市提供） |
現在、全国公開されている映画「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」（もしドラ）で、鴻巣市の上谷総合公園野球場「フラワースタジアム」が登場していることをご存じだろうか。映画やドラマの撮影地を提供するため、昨年３月に設立された鴻巣市フィルムコミッション（ＦＣ）も、「もしドラ」で撮影誘致数は「１０」の大台に到達。担当の市商工観光課は「ロケは地元ＰＲ、弁当手配などの経済効果ばかりか、鴻巣市への愛着にもつながる」と、今後も積極的に誘致を進める考えだ。
「もしドラ」の撮影は今年２月１、２、４日の３日間で行われた。市が募集したエキストラは１、２日目が各１２０人、３日目が３６０人。午前８時から午後５時ごろまで、主演の前田敦子や峯岸みなみのＡＫＢ４８メンバーをはじめ大泉洋、瀬戸康史らの俳優陣と撮影に臨んだ。
同課によると、ＦＣ設立当初はロケの打診はあったが、一向に撮影には結び付かなかった。「求められるのは学校、工場、病院など。市内に撮影可能な場所はなく、“問い合わせ止まり”の状況が続いた」と苦悩の日々を振り返る。それでもバラエティー番組などのロケを皮切りに、「夏の恋は虹色に輝く」（フジテレビ）などのドラマ撮影も行われるようになり、徐々に知名度を上げていった。
そんな中、舞い込んできたのが「もしドラ」だった。鴻巣市ＦＣにとって、エキストラ募集や弁当手配などを含む初の大規模ロケ誘致。「球場の外野に芝がない点や、周囲に建物がない“素朴さ”が功を奏した」と同課。舞台は、甲子園を目指す“弱い野球部”が苦闘を繰り返す球場。決勝や準決勝で使われる球場とは違った雰囲気がロケ地に求められていた。
撮影したのは、２月にもかかわらず真夏のシーン。鴻巣市民中心のエキストラは半袖姿で“夏”を演じ切った。同課は「参加者はみんな楽しそうだった。まちの明るい話題にもなった」と、ロケがもたらした盛り上がりを強調する。
ＦＣ設立から１年強の間に使われた市内ロケ地は同球場のほか、１千人規模の客席を誇る市文化センター、吹上のコスモス畑など。同課は「映画に登場すれば鴻巣にもっと誇りを持てるはず。今後も撮影者の希望を聞きながら、花畑などより鴻巣らしい風景を売り込んでいきたい」と意気込んでいる。